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honeykiss*






「なぁ、アリア」
『?』
「なんだ?それ」
『...?』
「首傾げてんじゃねぇ。
 そのお前の口に張り付いてるラップのことを言ってるんだよ」





エイリア学園───
かつては各地の学校を破壊し、日本の、否、世界の命運を一時握ることとなったサッカーチーム。
その個人部屋の一つで、猛き炎を連想させる髪形の男と、
顔に、丁度唇のあたりにラップを張り付けた、アリアと呼ばれる女が寛いでいた。

しかし、ついに男がアリアにツッコミをいれる。

「おい、なんか不気味だぞ...剥がせよ」
『んーっ、んんん』
それに彼女はタイマーを突き出した。
あと14秒を記録していた。
「あぁん?待てってか?」
呆れたように言えば、アリアはこくこくと頷く。



13

12

11...












Pi Pi Pi Pi

彼女はベルの音を消すと、ラップを剥いだ。
甘い匂いが流れてきて、男は咽そうになった。

『んー・・・』
「・・で?」
『え?』
「なにやってんだよ?」
丸めて捨てられたラップの片鱗を片隅に、男は問う。
『なにって、唇パックに決まってるでしょ。晴矢。』
「は?」
晴矢と呼ばれた男は、目を丸くする。
『蜂蜜を唇に塗って、5分間密着させるといいんだってー』
無邪気な笑顔で言われ、晴矢はため息をつく。
休日に彼氏の部屋に来てまで
することがソレか...?

『んー、艶々になったぁ?』
「知るかよ・・・」
『うー、ノリ悪い』
そういって、唇に付いた蜂蜜を舐めとる彼女。
晴矢は、その様子をじっと見ていた。

白い肌とは対照的な赤が、蜜により艶めかしく照っていた。
それを、同じように赤い舌が這う。
「・・・おま、エロ...」
『え?』
「・・・何もいってねぇよ」
晴矢は小さく顔を赤くさせ、そっぽを向く。
『ねぇ、プルプルになった?なった?』
「あー、うっせ」
晴矢が火照った頬を隠すように適当に答えれば、彼女がうー、と唸る。
その時、晴矢はあることをひらめいた。

「・・・いーこと思いついた」
『え、』

アリアは、何事かと聞こうとした口を留めなければならなかった。
振り向けば、視界いっぱいの晴矢の顔があったから。

chu


『ふ、..ぅ』
「・・・アリア、口開けろ」
『え?・・んっ』
水音が響く。
彼女は顔を真っ赤にして、彼に縋りついた。
回される腕と、添えられる温かい手。


Pi Pi

Pi Pi Pi


設定ミスのタイマーが鳴り始めたころ、
やっと彼女は解放された。
『はっ...はっ...、』
彼女は、キスした理由がわからない、とでも言いたげな瞳を晴矢に向ける。
それに対し、彼はニヤリと妖笑を浮かべ

「やわらかかったぜ?それに、甘かった」
べ、と舌をだせばボッと赤くなる彼女の顔。

『ば、ばかじゃないの...!!!』
「アリアバカですがなにか」
『!!?//バ、バカ!!』









HoneyKiss
優しく抱くのもいいけど
たまには甘く奪ってほしいの









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