※捏造しかないうたプリのハヤトキハヤです。どこまでも捏造です。


よく似ているけど似ていないと言われ続けてきた。
正直自分もそう思っている。外見は確かによく似ているかもしれないがそれは当たり前だ。双子なのだから。だが内面は自分とは似ても似つかないとトキヤは思っていた。お人よしの塊で出来ているような双子の兄のハヤトのことをチラリと一瞥しながら考え事に耽る。ふと思い立ったように立ち上がったハヤトはアイスを持ってくると言って返事も聞かないままにそのまま部屋を飛び出していった。別にいつのもことなので特に気にせずに机の上の教科書から目を離して、帰りを待つとすぐに両手を後ろに隠したハヤトがそこにいて何味だと思うって聞いてきた。だから、抹茶と答えてハヤトに手を伸ばす。そうすれば当たりって笑って片方の手に持っているアイスをスプーンと一緒に渡してくれる。

「さすがトキヤだね!」

「そんなこと無いよ、ん、ありがとう。」

手のひらに渡される冷たいものをとるとそのまま椅子から立ち上がって部屋の真ん中くらいの何も無いところに座る。自分から見えるのはハヤトがいつも使っているスペースだけでハヤトからは僕がいつも使っているスペースだけ見える状態で背中合わせになる。それがなんとなくいつものことになってその状態でなんとなく会話するのが当たり前になっていた。容器の蓋を開けて一すじ掬って食べると少しだけ甘いアイスが口の中に広がっていく。おいしいねと後ろから聞こえてきて、そうだなって返すとスプーンを伸ばしてきているハヤトがいてどうしたんだって横目で返す。

「同じ味だろ?」

「同じだけどそれはトキヤのでこれは僕のだから。同じ味でも何か違うんじゃないかなって思って。」

「なんだそれ。」

思わず笑ってしまったけど溶けかけているアイスを見て放っておいたらきっとそのまま零すんじゃないかって思ってしまったからハヤトの手を取って食べた。やっぱり同じ味だったけど、ハヤトの方のアイスを食べたってことになる。同じ商品で同じ味でただ小分けにされているだけだから味に変わりは無いってわかるんだけどハヤトにそれを言ったら何かダメなような気がして言えなかった。

「溶けちゃいそうだったから食べた。ハヤトの少なくなっちゃったろうからあげる。」

「え、そんな気にしなくていいのに!」

気にしなくていいとかそんなこと言っているうちにスプーンの上にあったアイスが溶け始めて来ていてさっきと逆の状況になった。どうしようか迷っているハヤトを見かねてもっと近づけさせようかと思ったけど一瞬後、伸びてきたハヤトの手によってアイスは口の中に吸い込まれていった。

「どう?」

「同じかな・・・。」

そう言って笑いながら再び自分のアイスを食べ始めている。その様子を見て自分の手元のアイスも溶けかけているのがわかったので黙々と食べ進めることにした。違うのを求めていたんじゃなかったのかと思ったけど流石にその辺まではわからなかった。ハヤトの考えていること全部がわかったらそれはそれで楽だけどそんなことあるわけは無いよなと当たり前のことを思ってため息を心の中でつく。空になった容器をゴミ箱に投げ捨てる。ふと思いついたように背中合わせからハヤトの方を向く。きょとんとしているハヤトがどうしたのって聞いてきた。

「このアイスみたいだな。」

「何が?」

「僕とハヤトが。僕たちは一卵性双生児で元々は同じ一つのものから出来ているって聞いただろう。だから、このアイスと同じように大きな途中までは、母さんのお腹の中までは一つだったけどそこで二つに分けられたんだよなって。そう思うと似ているんじゃないかって思う。だから同じ味だってなってもそっちのやつはハヤトのアイスでこっちのやつは僕のアイスでそれだけでもう違うんじゃないか。」

「やっぱりトキヤは凄いね。」

自分も食べ終わった容器を投げ捨てたハヤトはなんだか嬉しそうなのに悲しそうな不思議な顔をした。どうしてそんな顔になっているのかわからなくてまたハヤトのことがわからなかった。

「でもね、僕はこの容器二つじゃなくて一つのアイスとスプーンで掬った部分だと思うかな。」

「どうして?」

「元は一個だとしてもどっちかが元の一個だと思うからかな。」

さっきと同じ顔で嬉しそうな顔するくせに全然嬉しそうに見えなかった。どうしたらいいのかわからない。そんな顔させたくないのに。ハヤトにはなんでもわかられているのに、自分はこういうときだけ何もわからないだなんて、はがゆい。何を口にしたらいいかわからなくて黙りこんでしまう。そしたら、額に何かが当たった。額に手を触れてハヤトを見ると手がデコピンの形をしていた。なに怖い顔してんのって笑われるとそのまま腕がこっちに伸びてきてぎゅっと抱きしめられた。ハヤトの癖の様なもので、でも落ち着くのは確かで。ずっとずっと前に元は一つだったものだからそう感じるものなのだろうかと考える。こうやってくっついて一つになってしまったらどれだけ安心するんだろうかと思いもする。でもそうなりたいと思わない。今、こうやって別々に存在しているのが良くて、それでこうやってたまにくっついているのが酷く心地よくてたまらないんだろうとさえ思う。抱きしめてきたハヤトを抱きしめ返す。夏だろうと冬だろうといつだって変わらない安心感を共有するように。

「でも、それはつまりスプーンで掬った部分がないと一個が成り立たないんだからその部分はとても大切で必要なんじゃないのか。」

「・・・そうだね、ありがとう。」

「なんでお礼を言われるのかわからないよ。」

「言いたかったからかな。」


そうして頭をなでられて、それは好きではないのにハヤトが本当に嬉しそうにしていたからそのままにしていることにした。


そんなこともあったなどと自分の手元に現在あるアイスを見ながら思う。かといって、今回もう一つのアイスがあるかと言えばそれはまた違う。特別買うほどまでにアイスが好きなわけでは無かったが、この夏の暑さに丁度いいだろうと友人が奢ってくれたものだった。空になった容器を同じ様にゴミ箱に投げ捨てた。それだけでいろいろなものを投げ捨てた気分になった。あの能天気との思い出をこんなにも簡単に思い出してしまうことがひたすらに不快だった。


ハヤトキハヤ/うたプリ

双子パロ大好きです。
ハヤトキハヤかわいくて仕方ないです。







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