※津軽とサイケ
※NOTCP
※あなたが考える津軽とサイケと180°違う自信があります
※津軽とサイケについて考えていたら妄想が斜め上になりました
※もう津軽とサイケではない気がしますが津軽とサイケ
※正にフリーダム
※本当にどんなものでも許せる方はスクロールお願いします。












生クリームをペタペタ塗って、ホイップクリームを上に綺麗に統一間隔に並べた。ボウルにへたを取ったイチゴが既に用意されていたからそれをホイップクリームの上にふわふわと乗っける。仕上げにチョコプレートを真ん中に乗せれば完成だ。にこり、と笑みを浮かべて拍手をする。フォークとナイフを持って、それを食べにかかろうとした。と、いきなりギュインと耳元に大きな音が流れて、目の前にあったケーキは消失し、ただ目にいたいくらいの明かりが眼球を刺激した。呆然としながら、耳元からなる音を避けるといきなり目の前に何か本が現れて、その面がバシリと額を叩いた。


「いたぁ!」


額に手を当てながら、ゆっくり目の前を見ると呆れた顔をした見知った人物がいて、やれやれとでも言いたげだった。いや、もう口から出たけれど。


「いい加減に屋上でサボるな、佐池。」

「津軽…!今回は見逃して!お願い!」


そこには学ランをしっかり着た所謂、生徒会長がいて、それが漫画みたいな話だけど俺の幼なじみだったりする。といってもこんな田舎では同級生が殆どみんな幼なじみみたいなものだ。幼稚園から小学校、中学生までこのまんま。だけど、その中でも津軽だけは特別で本当に家族みたいな存在だ。隣同士の家だから毎日の様に一緒に遊んだり、ご飯食べたり、寝たりするそんな仲。それはお互いに兄弟がいない事にも要因してるのかもしれないが、近所ではいつも仲がいいね、と言われ続けてきた。


「お前の'今回は'は一体何回あるんだ……。相変わらずヘッドホン付けたまま居眠りしてるし。これ耳に悪いから止めろって何回言えば…。」

「わー!わー!もう気をつけるから!次からは授業もちゃんと出るから!」


屋上に投げ出されたままのヘッドホンを引き寄せて、繋がってる音楽プレイヤーの音を止めた。さっき、津軽が最大音量に鳴り響かせたやつが音漏れしていた。そのヘッドホンを再び首に掛けて、早く行かなきゃ!と津軽に行ったら、時計を見ろ、と言われた。


「あ…。」


津軽が指差す方向は校庭にある大きな時計なんだけど、もう3時半を回っていて明らかに授業が終わってることがわかった。あー、朝からずっと寝ちゃってたのかぁ…。


「あはは…、津軽、ごめんね。明日から出るよ。」

「はぁ…、明日はお前から目を離さないから覚悟しておけ。」


そう言って、津軽はカバンをポイッと投げた。あとは何も言わなくてもただついて行けば一緒に帰るってことになる。津軽といるときはヘッドホンは定位置じゃなくて、首に置いておく。それがなんとなく当たり前になっていた。するんと学ランのポケットに音楽プレイヤーを入れて津軽に小走りで近づいて隣を歩く。


「あのさー、今日、津軽の稽古見ててもいい?」

「別にいいが、久しぶりだなそのセリフ。最近はなんだかサイケデリックだとかにハマっててそれをひたすら聞いていたいんだ!他の音楽をシャットアウトしないとその世界がわからなくなる!とか言ってなかったか?佐池だけに。」


津軽が少し驚いた様にこちらを見て、一体どんな風の吹き回しだとでも言いたげにくすりと笑った。それになんだか恥ずかしくなったけど、対抗出来るような上手い言葉も見つからなかった。


「いーじゃん別に!その代わりちゃんと着物着てね!幼なじみの頼みでしょ!」

「はいはい。本番も近いから丁度良かったな。」


津軽の家は三味線教室だ。お父さんがプロで津軽にもプロになって貰いたいらしくて俺はひたすらに頑張る津軽の隣でただその様子を聞いていた。もちろん最初は一緒に挑戦したりもしたんだけど、俺には才能が無いみたいで、いや、才能以前にセンスも努力する気持ちも無かったんだけどね。それでも津軽が音を間違えたり、ズレたり、リズムがおかしかったりすると一番最初に俺が見抜くからいつも発表会が近くなると俺は津軽の三味線を一番最初に聞く特権を貰えるんだ。津軽はいい加減な返事をしながらも快く引き受けてくれた。舗装されてない道路を歩くのは慣れっこでただ剥き出しの地面にたくさんの小石がばらついてる。その中でも集合してる小石の塊が前方にあって、歩きながらそれを思いっきり蹴ると1つ1つがバラバラに飛び散る。あんなに集まってたのにバラバラにしちゃった。


「ねえ、津軽、やっぱり卒業したら東京に行っちゃうの?」

「そうだな…。」


いきなり話題を変えた俺を気にしないで、津軽は神妙な面もちで答えた。それもそうだろう。天才三味線奏者と言われた津軽が東京からの推薦を断る訳がない。それに津軽の家族もそれを望んでいた。俺だけだ。それを素直に受け止められないのが。高校生にもなればそれぞれ違った進路に行くのは当たり前。自分がこれからどう生きていくのかを決める重要な選択をする人だっている筈だ。俺はと言えば、地元の高校に通うことしか考えて無かった。親もそのつもりでいるだろう。だけど、俺はただ純粋に津軽と離れたくなかった。だって、生まれてから15年。津軽と離れたことなんて一度もなくてお互いが誰かと結婚しても、それは続いていくとさえ思っていた。だから、考えられなかった。俺と津軽がバラバラになるなんて。さっきの小石、蹴らなきゃ良かった。あんな風にバラバラになるのかきっと不本意だったろう。それに何だか俺達の縮図みたいで嫌だった。


「でも、佐池。」


何?って聞き返そうかと思った。でもそれよりも早くその言葉は紡がれた。


「俺と一緒に東京に来ないか?」


真剣な顔で津軽がポケットに手を突っ込むのは本当に真面目だと言う記しだった。




【ハッピーエモーション】





2010,10,21

津軽とサイケ

実にすみません。自重します。スランプ爆発しろ!










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