「パパサンタさんに手紙届けた〜?」

蓮が清志にそう言った。

「当たりめぇだろ!パパはサンタさんとお友達だからな」

わーい!と蓮と千笑美は嬉しそうにハイタッチした。12月も下旬に入った。クリスマスは今年もやって来るのである。毎年の宮地家のお決まりで、蓮と千笑美がサンタさんに手紙を書いて、パパに渡して、パパがサンタさんに届ける(実際は清志となまえで何が欲しいか確認する)のだ。

「にーに!」

千笑美が蓮を呼んだ。

「千笑美ね、サンタさん見たいの」

蓮が返事をする前に清志となまえの背筋が凍りついた。

「なら俺と一緒に頑張って起きてるか!」

「うん!」

蓮と千笑美のやり取りに二人には気づかれないようになまえと清志は目を合わせた。どうしよう。






そして当日。美味しいご飯を食べて、ケーキを食べた蓮と千笑美はおやすみなさーい、とリビングを出ていった。

「どうすんだ?」

清志が言った。

『んー。蓮も千笑美も寝るのをとにかく待つしかないんじゃない?』

「もし寝なかったら?」

『そのときはパパが手紙忘れてたってことに「するかバカ。轢くぞ」

まるで学生時代に戻ったかのようなやりとりだが、胸が弾むようなことは全くない。とにかくどうしよう、である。

蓮が欲しがっていたゲームのカセットも、千笑美が欲しがっていたおもちゃもあるのだが。果たして渡せるのだろうか。

二人が寝た一時間後。様子を見になまえが行った。

するとドアを開けることなく二人が起きてるのがわかった。二人のうきうきした話し声が聞こえたのだ。

「にーには何お願いしたの?」

「俺は前言ってたカセット!」

サンタさんが届けに来るのを今か今かと楽しみにしている様子が伝わってくる。これは手強そうだ、と心を痛めてなまえはリビングに帰っていった。


『あの調子じゃしばらく寝ないと思う。二人ともすごく浮かれちゃってて』

「そうか…」

仕方なく二人は先に二人の寝る準備をすることにした。お風呂もまだだったし。

「久しぶりに一緒に入るか」

『二人ともまだ起きてるんだからだーめ』

私はそう言って、ついてくる清志を追い返して先にお風呂に入った。



なまえが風呂から上がり、今度は清志がお風呂に入ってるとき。なまえはまた様子見に行ってみた。すると、先程よりは声のトーンは下がっていたが二人が話しているのが聞こえた。

「にーに眠くなってきた…寝たくない…」

寝て!寝なさい!と内心思ったなまえだが、二人の話を聞く。

「そうかー。じゃもし寝ちゃったら俺が起こしてやるからな」

蓮ー!!!!!と内心叫んだことはなまえしか知らない。



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