青峰と休日



「だりー、あちー」

黒い肌に白いタンクトップ。メッシュっぽいバスパンをはいた青峰が私の後ろで言った。私まで暑くなるからやめてほしい。ていうか部屋で唯一の扇風機を青峰に独占されてる私の方が暑いに決まってる。

「なんでお前の部屋クーラーないの?」

『私もほしいしー。買ってよ大輝くーん』

「気持ちわりーなー」

青峰は眠そうに大きく欠伸をした。全く、人の家に来ておいていいご身分である。

「アイス食いたい」

『買ってきてよ』

「金ねーわ」

私におごれと!?このガングロくろすけめ…。私は夏期課題の冊子を閉じた。もうこんな中課題なんてやめだ。能率悪いし!

私はそうして、扇風機と青峰の間に入り、やっと風をあびる。

『あーすずしー扇風機サイコー!』

扇風機にあーっていって震える声を楽しむ私は小学生と変わりないのかもしれない。

「お前邪魔」

青峰が私の手を引く。私は簡単に扇風機と離ればなれ。

『あああああ扇風機〜!』

今世紀最も悲劇的な別れにしくしくと泣き真似をする私をよそに青峰は扇風機をあびて涼しそうだ。何だか眠くなってきた私は寝そべって目を閉じた。

「寝んのかよ」

青峰の声に首だけ動かして頷く。

「なら俺も寝るわ」

青峰が私の隣に寝そべる。もちろん扇風機の風はすべて青峰にいくように。もういいもんねー。

すると背に腕が回り、何だかあたたかい。てか暑い。もちろんその原因は青峰で、私を片腕で支えながら寝ている。

『青峰暑い』

そう言っても腕は離れなくて。でも私だって別に嫌な訳じゃないからもうそれ以上は何も言わなかった。

暑い日にこうやってくっついて寝るのも悪くはないかもなーなんて思いながら、私は意識を手放したのだった。






◎あとがき
願望でした。夏きてんのに私の住んでるところめちゃくちゃ寒いしゆっくりだらだら過ごすような夏がほしいなんて思って書いてました。

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