化学教師宮地
『せんせー。意味わからん。もうなんなの化学。無機とか色んな色があって綺麗ですね位にしか思えませーん』
「ならその色が何をどうした色なのか覚えろ」
『いや、無理です』
「それ覚えないと大変なこと起きるぞ、テストで」
んー、と化学室の机に向かう私と宮地先生。
「大体この前ガスバーナーの使い方だって間違ってたろうが。あんな基本間違えんなバカ」
宮地先生が言う。
『人間誰でも間違いはあるんですー』
「いいから早く解け。俺帰るぞ」
先生が言う。それはとても困る。何せ明日は化学のテストだから。
『あれ、見分けるやつわかんないせんせー』
「それはイオン化傾向とそれぞれの特徴覚えてねーからだろ」
ったく、と宮地先生が立ち上がった。
『ええええ本当に帰っちゃうんですか!?』
「うるせーから勉強してろ」
宮地先生の方を向いていた顔はノートと教科書の方を向けられた。
『先生痛い!痛いよ!』
「知るか」
化学室から出ていった宮地先生。あああ見捨てられたー。終わった私の明日のテストー。もうやだーと私はペン回しをして問題を解いていると。
「……なんだ、あってんじゃん」
背後から宮地先生の声がして。
『うわ!先生!びっくりするからやめてください!!』
「何でだよ。ほらよ」
先生の手には温かいミルクティー。先生とお揃いだ。
『嘘!?先生のこれ飲んでみたかったの!高いから買わなかったけど!おいしい?』
「うめーぞ、これ。ほら、やるからしっかりやれよ」
『やったー!先生大好き!』
私はミルクティーを飲む。甘くて思っていたよりずっとおいしかった。
「おお。お前もやればできんじゃん。明日のテストが楽しみだな」
『先生いい点数とったらまたミルクティーくれる?』
私がそう尋ねると、先生は少し考えて。
「よし。8割とったらやるよ」
『やった!絶対8割とる!!』
「ま、せいぜい頑張れよ」
宮地先生の手が私の頭をぽんと撫でてくれて。ああもう頑張らないわけないじゃない。
『男に二言はなしだからね!?』
「おう。いい点とれよ」
そう笑う先生と一緒にいたいから質問しに来てるなんて先生は知らないだろうけど。いつか伝えたい、そう思うの。
『80点絶対とります!』
◎あとがき
化学教師宮地先生はいつもはコンタクトだけど、たまに寝坊とかで眼鏡だったら死ねる。化学教師宮地。化学清志宮地。
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