教師笠松



私は音楽室に向かって歩いていた。昼休み。生徒たちの生気が戻り始め、騒がしくなりはじめの時間帯。私はペンケースを音楽室に忘れてしまっていて。

『音楽室に忘れてきちゃったみたいー』

「いってくればー?」

友達に言われて前の時間まで授業だった音楽室に向かった。すると、中から優しいギターの音がして。

誰だろう。音楽の先生ギターは弾けないって言ってたんだけどなー。なんて思いながら音楽室の扉を開けた。

「なっ、」

驚いたような顔をしてるのは音楽とは縁もゆかりもないと思っていた笠松先生で。

『え?』

「何でお前がここにいるんだよ!?」

笠松先生に何故か怒られ。

『ペンケース忘れちゃったんですよ!あ!あった!!』

机の下のスペースにペンケースを無事発見して。

『てか先生ギター弾けるんですね!?』

「昔はよく弾いてたんだよ」

『何か私でもわかりそうなの弾いてください!!』

私は笠松先生の向かいに腰かけてお願いする。

「はぁ?やだよ」

『先生お願い!』

笠松先生は仕方ねーな、とため息を吐いてギターを弾いた。


『先生すご!うま!たまに来てるんですか?』

「いや今日はたまたま音楽室に用あってギター置いてあったからちょっと借りただけ」

『また弾いてください!!私聞きに来るので!!』

笠松先生は、顔が少し赤い。

「恥ずかしいだろ…」

『何で!?先生かっこいいよ!』

「もうわかった。わかったからやめろ」

笠松先生は頭を抱えて、よし、と言った。

「月一で第三水曜だ。異論は認めねえ」

『やったー!先生最近の曲も少し覚えてね!じゃ!』

私は音楽室から飛び出した。笠松先生の以外な素顔がみれて何だか新鮮。でもこれから第三水曜がきっと毎月楽しみになるんだろうなーって思って私は込み上げてくる笑みを隠せなかった。







◎あとがき
教師シリーズその2。こんな感じで音楽の趣味似たようになったら可愛い。笠松さん音楽の教師ではなく座学の教師だったらいいな。体育でもなくて。密かにギターもバスケもうまかったらいい。

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