今更ながら、どうしてこうなった



 自分に対して、否この“世界”に対して違和感を持ったのはついさっきの出来事だ。小学四年生になって英会話が授業に入ったことで夏休みの宿題として“自分の気に入った国について調べてきましょう”というものが出されたので涼太と一緒にやっていた……というか、今まさにやっている時にそれは起きたのだ。
 午前中に涼太と図書館に行って借りてきた図鑑をペラペラと捲りながら流し読みしているとふと目に入った人種の特徴欄。(因みに私はアメリカを選んだ。涼太はしらん)

「“人種のサラダボール”と称されるアメリカには沢山の人種がいます……ねえ」

 金髪の髪をした綺麗なお姉さんとお兄さんが此方に向かって笑みを浮かべている。他にも銀髪のような髪をした人など色々な人の写真を見つめていれば、どうしたんッスか?なんて楽しそうに涼太が覗き込んできた。……ん?あれ、こいつ元々金髪だったよね?

「……涼太って日本人だよね?」
「あ、当たり前ッスよ!アイアム純日本人!」

 ドヤ顔でこっちを見てくるこのアホは置いておくとして、純日本人で生まれながらにこんな綺麗な金髪している人って私の中であり得ないっていう常識が出来ているのだが、一体どういうことだろうか。ヤンキー風の両親が子供の髪を染めることはあるといえばあるけど、そう言うのって大体プリンになってて恰好の悪いことになっているのが常だ。というかそれ以前に小母さんも涼太と同じように綺麗な金髪をしている。ど、どういうことだ……?!
 しかも追い打ちを掛けるようにこの前遊びに行った遊園地で緑や赤、水色といったカラフルな髪色をした同年代らしき男の子たちをチラホラと見つけたのを思い出した。

 ……。

「その髪色可笑しいだろおおおおおおお!!」

 思わず頭を抱え机に突っ伏せばゴンっと嫌な音を立てて嫌な痛みが頭を襲う。その瞬間走馬灯のように蘇ってきた“あの事故”。……おいおい、嘘……だろ?
 停止した私を気遣ってか「大丈夫ッスか?痛い?」と頭を撫でてくる涼太の優しさに内心泣きながら私は行きついた答えに悲鳴を上げ立ち上がると気が付いたら階段を駆け下りてリビングに直行していた。

「な、なんで私生まれ変わってるの?!なんで小さいの!!」

 意味が分からないわあああああ!!とキッチンに立つ母親に引っ付き訴えれば、何言ってるんだコイツとでも言いたげな顔をされ、リビングにいた小母さんには心配そうな顔で名前を呼ばれ、挙句には追って来たらしい涼太が「玲が可笑しくなったッス」と泣き出し、リビングは氷点下を通り越して地獄絵図と化した。

2012/08/13

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