母親同士の楽しいお茶会



 天気の良い平日の午後。涼しい空調の効いた快適な部屋に漂う珈琲の芳醇な香りに女性2人はうっとりと表情を緩めた。静かで気の許せる女同士での楽しむティータイム。育児に疲れた母親同士この時間はまさに至福の一時と言えるだろう。
 珈琲を一口飲み黒髪の女性が口を開いた。

「そういえばもうすぐ玲も涼太くんも小学生だよねえ。早いなあ」
「ねー。少し前まであんな小さかったのに気が付いたらもう小学生。子供産んでからホント月日が経つのが早く感じるかも」
「貴方の所は男の子だし、これからもっとそう思うようになるんじゃない?」
  
 ニヤリと意地悪く笑った彼女に対して美しい金色の髪を持った女性はえーないない、と手をひらひらと横に振りながら笑う。自分の息子の出来事を何か思い出しらしい笑いを堪える表情で話し始めた。

「この前家に返って来た途端涼太が泣き出してね。理由を聞いたら、玲より身長が低いー!!ってもうピーピー。それから牛乳がぶ飲みして何度お腹壊したことか」
「あー幼稚園で身体測定した時の話ねー。あの子涼太に勝った!ってドヤ顔してたよ」

 そう言って笑い出した2人。ひとしきり笑って漸く落ち着いた母親達の耳に聞きなれた車の移動音が聞こえてくる。もうこんな時間かー、と時計を見た2人は徐に立ち上がり玄関へと向かって行った。

「このまま仲の良いままでいて欲しいよね。異性同士って離れちゃうこと多いみたいだけど」
「そうだねえ。もういっそのこと付き合っちゃうレベルになった方が私達としては面白いかも」

 互いの顔を見合わせ含み笑いを浮かべた母親達の思惑を当然ながら子供たちは知る由もない。扉越しに聞こえる楽しげな笑い声と小さな二つのシルエットに今度は優しげな笑みを母親たちは浮かべ扉を開いた。

2012/08/13

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