小さい君



「涼太の服、デカ過ぎ」

 不貞腐れた声でリビングに降りてきた玲を見て思わず顔がにやけてしまった。「制服が皺になるから、涼太の服着ちゃいな」と押し切ってくれた母さんにこれ程有難く思ったことはいつぶりだろうか。神様に手を合わせる気持ちでキッチンを見たら満面の笑みで親指を立ててきた。
 玲はというとTシャツだけでワンピース状態になっているのが気に入らないのか、ムスっとした顔で扉の前に立っている。が、母さんからゴリゴリくんが渡されれば途端に笑顔になったその姿に心の内で悶絶をしていたら「涼太何味がいいー?」なんて嬉しそうにこっちにやってきた。か、可愛すぎるッスよ、玲……!!

「玲、ここ座って!ここ!」

 服の我儘に勢い付いて(調子に乗ってとも言うんスけどね)自分の膝の間をポンポンと叩いて示せば呆れた様な顔していたけど、梨味は私のだからねと一言言って素直に座ってくれた。
嬉しくて体育座りをしながらアイスを頬張る玲を抱きしめたら容赦なく脇に肘を入れられたけど、そんなのも気にならないくらい浮かれている。拗ねたから甘やかしてくれてるんスか?って聞いたら少しだけ顔を赤くして黙ってしまった。うわあああ反則ッスよおおおお……。

「やっぱ白トトロ小さくて可愛いわー…」

 ぼそり、と呟いた玲の言葉に玲の方が可愛いのにとか思いながら(言ったら怒りそうだったから止めたんス)、小さいなあ可愛いなあと頭を撫でてたら俺の方を見上げて「今度ポニョ借りてこよ」なんて言われる。反射的に大きく頷けば小さくだけど嬉しそうに笑ってくれて、なんかもうトトロ見てるどころじゃない気持ちになった反面、凄く幸せな気持ちにもなっていた。
 ……こんなに甘やかせて貰えるなら月一くらいのペースで拗ねようッスかねえ……。

2012/08/15

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