The knight who fell
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「< 皆さーん今日が最後の生徒会長、ミレイ・アッシュホードです! >」 学園に響いた会長の声。あの後、ギネヴィアに乗りギリギリ間に合う事が出来た。 いくら休学届けを出したからといって出席出来る時はなるべく出るようにしたい。だからといって、正直これは……どうなんだろうか。無意識の内に溜め息が洩れた。 「< まもなく、私の卒業イベント"キューピットの日"を開始します!あ、ターゲットからは最低2メートルは離れていてね! >」 会長の説明を聞きながら私は周りを見回す。……ざっと見て15人近くの男子生徒。此処は廊下。はっきりいって、知らない人と付き合う気は更々ない。……さて、どうやって逃げようかしら。 *** キューピッドの日が開催されてから約2時間。幾ら私が軍人だからって2時間走り続けるのは流石に辛くなってきた。それに学校内で生徒を相手に逃げるだけあって、下手に動く事は出来ないし……。 少し前にシツコイ男子生徒に反射的に蹴りをかましてしまったから、後で会ったら謝ろう……。(……その後その生徒は他の生徒にリンチにあっていた気がする。) 「「エルフィさん!!」」 皆ルルーシュを捕まえに行ったお陰で殆ど生徒が居ない教室棟のはずなのに、気が付けば沢山の男子生徒。沢山の生徒に自然に頬が引きつる。囲まれて逃げ場が無く、後ろに後ずさると窓にぶつかった。 (ど、どうしよう……) 「エルフィー!!」 「えっ、ジノ?!」 窓の外から聞えてきたジノの声に視線を下へ向けた。……周りの男子生徒達は何やら誰が帽子を取るのかもめてるらしく、暫くは此方にこれ以上近づいてくる事は無いはず。 「エルフィ、私が受け止めるから其処から下りて来いよ!」 「えぇっ、此処3階よ?!」 「逃げ場所無いんだろ?大丈夫だから、私を信じろ!」 痛い所を付かれて何も言えなくなってしまった。……軍の訓練でこの位の高さなら私にだって下りれる。だけど、今は制服を着ているし躊躇してしまうのが普通じゃないだろうか。 「帝国最強騎士、ラウンズのシュヴァリエがこんな事で臆するなんて意外だなー」 ジノの茶化す声にカチンと来た。……ジノの挑発に乗ってしまう私も大人気ないのかもしれないな。 「分かったわよっ、絶対受け止めてよ!!」 帽子を押さえながら、窓の桟に手をかけて外へ飛び降りた。囲んでいた男子生徒や他の生徒から悲鳴が上がる。 「よっと!」 落ちてきた私をジノは軽々と抱きとめると急に走り出した。 「ジ、ジノ、有難うもう良いから下ろして……っ」 「嫌だよ、折角久しぶりにエルフィを抱っこできたのに」 「これが目的だったの?!」 私が声を上げるとジノは嬉しそうに笑い、ウインクをしてくる。 「あったりー!」 (や、やられた……!!) 「……本当はエルフィの帽子貰おうかなって思ってたんだけどさ、」 「……取らないの?」 冗談で聞いてみると突然笑顔から真剣な顔に戻り、私と顔を見合わせてくる。 「……帽子を取らないで、振り向かせられなきゃ意味無いなって思ってさ。エルフィとつり合う位の男でありたいんだ」 そう言って微笑むジノの顔に少しだけ、どきりとしてしまった。 ――― 更新遅くなってしまいすみません;; 今回は思いっきり遊びました。書いてる本人はめちゃくちゃ楽しかったです。はい。(笑) 多分次はシリアスになるのかな……? 2008/10/11 |
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