「ティエリアー、」 「……」 「ティエリアってばー!」 「……」 「あぁ……、もう……っ!!」
さっきから此れの繰り返し。……まるで堂々巡りをしている様だ。 溜息を付きながら腰にしっかりと回された腕に何十回目かの抵抗をしてみるが、……やはり男の力には勝てるわけ無く。今の抵抗のせいか、私の膝に頭を置いているティエリアの表情が少し不機嫌そうになった。腕の力が強くなる(く、苦しい……) 起きているくせにティエリアは瞼を強く閉じて狸寝入りを決め込んでいた。……いや、これはもう、ふて腐れていると言っても良いかもしれない。 ……そんなに私が仕事をするのが許せないのか。と不貞寝する恋人へ心の中で零した。
普段のティエリアらしからぬこの行動の原因は簡単。――私がティエリアがいるのに仕事をしていたからだ。……多分。"最近あまり寝ていないだろう"とか"少しは休め"と言われたがスメラギさん達に迷惑は掛けたくなかったし、何よりもうすぐで終わる情報処理だったので不機嫌になりつつある恋人をあれやこれやで言いくるめては、少しずつ作業を進めていたのだ。 ……それが良くなかった。 完璧に不機嫌になったティエリアは背を向けるような形で私のベットに蹲って、不貞寝しまったのだ。あぁ見えてティエリアはとっても甘えんぼでさみしがり屋なのは私がよーっく分かっていたので作業を中止してティエリアのいるベットに腰を掛ければ、腕が腰に回り……冒頭に戻る、っという形だ。
「ティエリアー、お願い。もうちょっとで終わるから、ね?」
彼の柔らかい髪を撫でながら、優しく言い聞かせれば漸く瞼が開かれた。苺みたいに真っ赤な目が此方を見てくる。あー怒ってるわ……。
「……駄目だ。僕がいるのにシルビアはずっと仕事してるし、……心配してるのに聞いてくれないし」
そう言ってティエリアは耳を真っ赤にさせ、顔をお腹にくっ付けてくる。そんな彼が愛しくて私は頬を緩ませた。
「ごめんね、ティエリア。私も悪かったわ。……どうしたら許してくれる?」 「……―して」 「えっ……?」 「キス、してくれたら、許す」
恥ずかしいのかぶっきらぼうに答えたティエリアに……今日は素直で可愛いなと思いながら(本人の前では絶対言えない。言ったらどうなるか……)私は了承すると、顔が正面になった。彼の唇に唇を落とした途端、腕を捕まれ視界が反転した。 ……前言撤回。今日のティエリアは可愛くない。 満足そうに目を細め、此方を見下ろしてくる私を押し倒した人物……ティエリアを私は睨み付ける。本人はそんなの全く気にせず、むしろ"シルビアが悪い"とか言ってきた。あぁ……騙されたー!!
「……油断大敵だ」
何時もより艶のある声が耳元で吐かれ、力が抜けてしまう。……ずるい。悔しさと恥ずかしさで火照る頬に手が添ええられ、今度は彼から唇が落とされる――
Prunus (私はもう貴方の虜!)
――― 雨さんへの222222hitキリリクでした。 遅くなってしまい、すみません;;
恋人設定だったのでこれでもかって位、私的にには甘くした積もりですが如何でしょうか……? 気に入っていただければ嬉しいのですが……。
雨さんのみお持ち帰り可能です。 リクエスト有難う御座いました!
※Prunus=「プラナス(桃)」花言葉は「私はあなたの虜」
執筆時BGM→"1stアルバム・BREAK" song by 宮野真守
2009/04/03
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