「アロウズとの決着がついたら、ティエリアはどうする?」
不意に問われた疑問に、僕はさっきまで入力していたキーボードから彼女へと視線を換えた。 彼女は椅子に座りながら足をブラブラと揺らしている。僕と視線を合わせようとは、しない。
「なんだ、急に」 「何となく気になってね。やっぱり、咎めを受けることになるのかな……私どうなるんだろう?死ぬのかな?」 「なっ……?!」
さらりと言い放った言葉に僕は一瞬心臓が止まるのではないかと思った。その位、驚いたのだ。僕の様子を彼女は見てケラケラと可笑しそうに笑う。
「言って良い事と悪い事がある!」 「ごめん、ごめん。そんなにティエリアが怒るとは思わなかったんだもの」
彼女が死ぬなんて考えたくも無い。……もう僕は2度も失ったんだかけがえの無い人達を。彼女まで失ったら、僕は僕自身がどうなるか分からない。 苦笑する彼女に"何故そんな事を考えた?"と言えば、少し寂しそうに視線を下げた。
「"776番目の私"は世界の為に、仲間の為に、……私の為に命を失った。咎を受けたようなものよ、彼女は。……"私達"はソレスタルビーイングの為に生きているようなもの。だから私もすべてが終わった時、死ぬのかなって」
どうして、貴方はそんなに"死"に対して恐れないのだろう?人間は誰しも"死"を恐れるものだ。なのに貴方は、まるで……、
「人間の命は短いわ。でも、私はもっともっと短い。……一瞬よね、死なんて。後悔している暇も無いくらいに。……くだらない」
そう言ってシルビアは冷たく宇宙を見つめた。……いつもの彼女らしくない振る舞いに僕は唇を噛み締める。 ここにいる彼女が消えてしまいそうな位、もろく見えた。
「そんな事……ない。短い命だからこそ人間は生きる事に執着し、生きる素晴らしさを知るんだ。……だから、シルビアもそんな事言わないでくれ……っ」 「ティエリア……」
思わず握った手を彼女は強く握り返してくれた。初めて、視線がぶつかる。
「ごめんね、ティエリア。……貴方と約束したのにこんな事言って」
"貴方を守らせて欲しい。"以前言ったこの事を彼女は言ってるのだろう。覚えててくれたことが嬉しくて僕は小さく微笑む。 ――あぁ、そうか……シルビアは恐れているんだ。自分の仲間がいなくなるのが。今までの言葉も単なる強がりで、シルビアは僕にこれを求めていたんだ。
「あぁ、本当に。……もうそんな事言わないでくれ」 「うん、……ごめんね」
柔らかく言えば、彼女の表情は安心した様な表情で微笑んだ。シルビアの目には微かに涙が溜まっていた。
"彼女"とは違う、赤い瞳は (どこまでも澄んでいて)
――― 遥生さんへのヒロイン画お礼小説でした。 遅くなってしまい、すみません;;
甘くというリクエストでしたのに何時の間にやらこれシリアスじゃね?という具合になってしまいましたが……。 私の中で連載ヒロインとティエリアは弱さを見せ合って補うのが彼女達なりの甘えだと思っています。……なんか何言いたいのかよく纏まってないですね;;すいませんorz
遥生さんのみお持ち帰り可能です。 リクエスト有難う御座いました!
執筆時BGM→"そして僕にできるコト" song by day after tomorrow
2009/04/04
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