ひらり、ひらり。 心地よく吹く風と共に桃色の花弁が舞っていく。……こんな風景を見れば大抵の人はこの美しさに感嘆するのだろう。 だが生憎僕は花に興味が無い、興味の無い物を見に来るために僕が地上に降りる事は絶対無い。絶対、に。……そんな僕が今こんな所に来ているのは、数歩前を歩く彼女が居るからだ。
「ティエリア、この桜何ていうの?」 「……"ソメイヨシノ"だ」
満面の笑みで此方に顔を向けるシルビアに僕は答えると、そっか。と頷いて彼女は不思議そうに掌の桜を見つめる。
「こんなに桜が綺麗だなんて思わなかった。あまり気にしていなかったのが勿体無い位よ」 「普段は宇宙(ソラ)にいるからな。仕様が無いだろ」 「まぁね、でもロックオンに感謝しなくちゃ。勿論、ティエリアにも」
そう言って満開の桜の下、微笑むシルビアはとても綺麗だった。金色の髪が桃色の花弁とよく似合っている。 ――日本の木と良いっても良い位有名な"桜"を彼女はあまり目にした事が無かった様で、地上に降りたロックオンに教えてもらうとそれは嬉しそうに目を輝かせていた。 普段見せない彼女の様子に思わず"桜を見に行かないか?"と口にすれば花が開いた様な笑顔で頷いてきた。 彼女の楽しそうな表情を見れば、僕も自然と笑みが零れた。……彼女と来れて本当に良かった。来なかったら、こんなに喜ぶシルビアを見れなかったのだから。
「ティエリア、どうしたの……?」 「あっ……、いや、何でもない」 「そう?ふふっ、変なティエリア」
何時の間にか僕は足取りを止めていたようで、前にいるシルビアも足を止めていた。慌てて答える僕に彼女は可笑しそうに小さく笑う。
「ね、ティエリア」
くるりと身を翻し、歩み寄ってくるシルビアに僕は小さく首をかしげた。彼女の手が僕の手へと握られる。
「一緒に来てくれて有難う。……また来年、一緒に行きたいな」 「……そうだな。この戦いが終わったら、また一緒に行こう」 「うん、約束……だよ」
微笑む彼女にそう答えれば、本当に嬉しそうに笑うから。
繋がれた手は暖かくて (貴方を失った今でも……、消えてはくれなくて)
――― 春音さんへのヒロイン画お礼でした。 遅くなってしまい、すみませんでしたorz
"ティエリア夢で甘く"というリクエストでしたが……此れは甘かったのでしょうか……?← 最後の最後でなんか切なくなってしまいました;;あー甘って難しい!!←←
春樹様のみお持ち帰り可能です。 ヒロイン画投稿有難う御座いました!
執筆時BGM→"trust you" song by 伊藤由奈
2009/04/03
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