誰も居ないトレミーの談話室に私は1人壁に寄りかかって、宇宙(ソラ)を見つめていた。 ――これまで奪ってきた沢山の命。その『声』が耳の奥で叫び声となって伝わり、瞼を閉じれば蘇ってくる死の瞬間。 ……怖い、凄く。 震える体を抱きしめると聞えてきたドアの開く音。誰だろう、と思い振り向けばロックオンだった。
「ロック……オン」 「シルビア……、」
私の顔を見ると彼は一瞬、苦しそうな表情を浮かべた。でも直ぐに笑顔に変わり、此方に近寄ってくる。
「どうした?元気ないな」 「うん……ちょっと考え事してたの」
窓に映った彼と目が合う。隣にいるのに何故だか、彼が遠くに居る様な感じがした。
「……良かったらそれ、教えてもらえないか?」 「え……っ、」
普段はあまりそういうに足を踏み入れない彼。 その彼が聞いてくるという事は私を心配してくれているという事。……彼の優しさに甘えて私は口を開いた。
「ロックオンが私の事を認めてくれた時、凄く嬉しかった。……だから怖いの、自分自身の中にある『力』が怖い。いつ暴走するか解らないし、最悪の場合……仲間を傷付けてしまうかもしれない」
体が震えて私はしゃがみこむ。すると彼は俯く私の頭を撫で、向かい合うようにしゃがみこんだ。
「……シルビアが1番嫌なのは仲間とか関係なく、『人を傷付ける事』……だろ?」 「!!」
……図星だった。 確かに私は『人を傷付ける』と言う事が嫌い。……あの脳裏に焼き付く死の瞬間と痛み。 そして何より私の手で容易く摘み取ることが出来る『命』、その人の将来を奪う重さ。……それが私には耐えられなかった。
「俺に嘘は付かなくて良い……俺たちは『共犯者』なんだからよ」
おどける様に言うロックオンに申し訳なくて、小さく唇を噛み締める。
「っ……」
俯いて返事をしない私に彼が困った様に笑う声がした。
「シルビア……大丈夫だ」
そう言って私の頬を両手で包むと、自身の額をくっ付けて来る。
「ロックオン…っ?!」
鼻と鼻がくっ付きそうな位近い顔に私は顔を離そうとするけど、彼は許してくれない。徐々に頬が熱くなるのが分かった。
「言っただろ、『俺たちは共犯者だ』って。俺もシルビアも同じ希代のテロリスト、殺人者だ。……目的を達成すれば報いは必ず受ける……いや、受ける事になる。シルビアが『報い』を受ける事になるなったら俺が一緒にいてやる」
普段見せない真剣な表情に目が離せない。
「シルビアだけが辛いめになんか絶対合わせない、死ぬまで一緒に居てやる。……だから、そんな悲しい顔をしないでくれ。お前には笑顔でいてほしいんだ、俺には……シルビアが必要だから」
泣きそうな声で小さく呟かれた言葉に涙が溢れた。
「っう……ロックオン……っ」
すがり付いて泣き出す私に彼は何も言わず強く抱き締めてくれた。
Safinia (彼の優しさが私を満たしてくれて、私はまた彼に甘えてしまう。……御免なさい)
――― 妃桐さんへの190000hitキリリクでした。 遅くなってしまい申し訳ありません;;
多分連載で言うと15辺りの話です。……っていうか、これは甘くなっているのか;;すみません、精一杯甘くしたつもりなのですがorz
妃桐さんのみお持ち帰り可能です。 リクエスト有難う御座いました!
※Safinia=「サフィニア」花言葉は「あなたがそばにいると心が和む」
2009/01/04
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