goddess perfection
07
「おや……、目が覚めたのかい?」 「……」 「あぁ、そうだよ。リジェネが彼にあっている。……大丈夫だよ、彼を傷付けたりはしない」 「……」 「彼は見つけてくれるかな?……会うのが楽しみだね。姫のドレスももうすぐ用意されるはずだ、だからそんなに悲しまないで。 ――僕は君が傷つく姿を見たくないんだ」 *** ガラスに映し出された僕自身の顔を見つめると溜息が洩れた。 ……数時間前に出会ったリジェネ・レジェッタに言われた言葉が頭の中でグルグルと回る。 *** 「――僕達は計画の為に生み出された。僕達の存在意義は計画を完遂し、そして……我等が姫を守る事」 僕と同じ顔が目を細め、笑う。……酷く可笑しな夢を見ているようだ。 そして、浮かんできた『答え』を信じたくなくて、僕は声を上げる。 「姫、だと。まさか彼女も……?!」 「そうだよ……『シルビア』は僕達イノベーターの元となった方。彼女の実験が合った事で僕達が生まる事が出来た。……彼女は僕たちの『血の繋がらない母』であり『神』の様な存在だ。僕たちは皆彼女を敬愛している」 ――愛しそうに彼は空を見つめ手を伸ばす。まるで彼女が其処に居るかのように。 「だが、彼女はこちら側……ソレスタルビーイングにいる。それなのに君達は此方に攻撃をしようとしているのか!!」 「……彼女は違う、『シルビア』ではない。僕たちの姫は『776番目の彼女』だけだ」 急に変わった凍り付きそうな位に冷たい表情に僕は身を無意識の内に強張らせていた。 「姫は彼女だけだ、『今の彼女』は『道具』にすぎない。……君だって気付いているのだろう?記憶があるはずなのにガンダムを『彼女』みたく操縦を出来ていないし、『能力』も出ていない」 「それはっ……、」 「ティエリア・アーデ、共に人類を導こう。同じイノベイターとして……そして『彼女』を取り戻すんだ」 「……!!」 信じられない言葉に僕は息を呑んだ。――蘇ってくる彼女の姿に視界が歪む。 『おいで、ティエリア』 そう言って微笑み、手を差し出してくれた、 初めて僕に『生きる意味』を教えてくれた大好きな……愛する彼女。 「彼女が、本当に蘇るのか……?」 やっとの思いで搾り出された小さな声にリジェネ・レジェッタは微笑み、頷く。 「うん、僕たちはやるよ。――既に計画は動き出している、上手く行けば近い内に会えるかもね。……答えは急がないよ。また会いにくる」 ――そう言うと彼は姿を消してしまった。 *** 「……僕は、如何したら良いんだ。自分の進むべき道は、シルビアは……!!」 叫んだ声は誰かに届くことなく、深い海へと消えていった。 ――― 今回は短めにしました。シルビアの謎がまた少し解けてきたのでは無いでしょうか? 次回はパーティーから始めるつもりです。 2008/12/08 |
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