イナズマ | ナノ


オリジナルの子達。名前はありません。
彼女達は吹奏楽部に入ってる設定。

一応雷鳥さんは出てきます。なので設定は連載版。
多分全国大会辺り。
―――


「ああ、もう!何でこんなに寒いの?!」

 意味解んないわっ!とぐちぐち文句を言いながら友人は制服の袖を伸ばして手を中にしまうと教室にある椅子を並べ始めた。私はその様子を見ながらまぁまぁ、と苦笑を浮かべ暖房のスイッチを押す。直ぐに教室内に冷たい空気が流れ始め、それに対して彼女は小さく悲鳴をあげた。……そんなに直ぐ温かくならないよ。と言えば分かってるわよ!とピシャリとした声で返されてしまう。本当、寒さは人を駄目にするな。とこの慣れた掛け合いをしながらつくづく思う。まあ、暑さもそうだけどこの際無視だ。

「こんなに寒いと楽器も冷えちゃうわ」

 そう言いながら彼女は首に下げられた自身の楽器に口を付ける。息を入れる音が微かに聞こえ私も彼女が用意してくれた椅子に座ると自分の楽器に息を入れる。フーフーと格好の着かない音が響き、暫くすると漸く教室内が暖かくなってきた。彼女の機嫌も直ったらしく楽器をぶら下げたままうろうろと動き始める彼女が不意に窓辺へ向かった途端、うわっ、と小さく悲鳴をあげた。
 その様子に私が首を傾げれば、こっち来て見てみなよ。と手招きをしてくるので大人しく行くことにした。

「あれって……サッカー部だよね?」

 窓から校庭を見下ろせば其処には最近著しく成績を伸ばして活躍をしているサッカー部が練習をしていて、こんなにも寒いのによくやるな。と思わず感心してしまう。選手もそうだけど何よりマネージャーなんかベンチに座ってるだけな訳だし、見ている此方が寒くなってくる程だ。少なくてもこんな暖房の掛かった教室にいる私達には耐えられない。

「あ、鬼道いるじゃん」

 隣から聞こえてきた声に私は一目散にその視線の先に目を向ける。――そこにはクラスメイトでありサッカー部唯一の女子選手である飛鳥ちゃんと彼、鬼道 有人君がいた。2人は何か練習が上手く行ったのか楽しそうにハイタッチをしていて、鬼道君の普段見ない笑顔に私は思わずドキドキと胸が鳴る。……それと同時に飛鳥ちゃんが少しだけ、羨ましく思った。って何いってるんだろう私は。チームなんだから当たり前でしょ!と頭を振り払えば、隣で茶化すように突っつくニヤニヤ顔の彼女に何だか無性に腹が立った。

「声掛けないの?」
「で、出来る訳ないじゃん!!」
「何で?」
「何でって、だって鬼道君と別に関わり無いし……」

 いきなり声掛けられても困るでしょ。と睨んでくる彼女を見ながら力無く言えば、深いため息を着いて彼女は腕を組んだ。

「アンタねー…。だからこの機会を使えば良いじゃないの!」
「はっ?」
「だ、か、らー」

 はい!はい!と彼女は私から楽器を取り上げて自分の楽器と一緒に机に置くと、もう一度窓際に立って思いっきりバンっと窓を全開にして体を少し乗り出すとブラバン特有の腹式呼吸(?)で大声をだした。(ちよ、危ない!っていうか、なにしてんの?!)

「飛鳥ーー!!」

 渾身の力で掛けられた声に飛鳥ちゃんも気づかないわけ無く、直ぐに顔を上げて手を振ってくれる。ニコニコとした人懐っこい笑顔を浮かべてピョコピョコと跳びながら手を振る飛鳥ちゃんはとても可愛いかった。鬼道君はというと飛鳥ちゃんに声をだした彼女について聞いているのか会話を交わしている。

「飛鳥も鬼道も、練習頑張ってね!!」

 そう隣にいる彼女が言えば、飛鳥ちゃんが嬉しそうにありがとうー!と言ってくれた。

「ほれ、アンタも手を振る!」
「え、あっ、うん!」

 手を引っ張られアタシも手を振れば飛鳥ちゃんはより一層笑みを深くし、鬼道は可笑しそうに笑っている。自然と頬が熱くなるのが分かった。

「ふ、2人共、れ、練習頑張ってね……っ!!」

 噛みまくりながら精一杯声を出せば鬼道君が小さく手を振って、そっちも練習頑張れ。と言ってくれる。そのまま監督に呼ばれた2人の後ろ姿を見ながら、嬉しさと恥ずかしさで思わずその場に座り込んでしまった私の姿を彼女は面白そうにケラケラと笑っていた。


―――
飛鳥ちゃん以外のオリジの子達。前から書きたかったんですよね。
最初の彼女等の会話は今日の部活のパート練時に似たような会話をしたから何となく書いてみました(笑)

2010/01/08

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