「先輩って、お兄ちゃんいそうですよね」
そう言った後輩……春奈ちゃんの姿を横目に見ながらアタシは手にハサミを握ったまま、そうかなぁ?と首を傾げた。アタシの様子に春奈ちゃんはそうですよー!と普段通りの明るい口調でパソコンを打つ手を休ませず口にした。
「飛鳥先輩何だかサバサバしてる所あるし、大人っぽいから」 「……まぁ確かによく言われるけどさ」
まさか春奈ちゃんにまで言われるとは思わなかったよ。と苦笑しながらアタシは切り抜いたスクラップをファイリングしていく。……事の始まりは春奈ちゃんが単独でやっていたアタシ達選手の個人能力表と他校の選手情報の収集、リストアップをしている事だった。部活がない日にも関わらず1人黙々と部室でその作業をしている彼女を偶然見かけたアタシが(半場無理矢理)手伝いを申し出たのだ。 一生懸命に頑張ってる人を応援しないわけには行かないし、元々アタシはそういう性格だしね。 そんなこんなで手伝いをしながら雑談をしていたアタシ達の話は冒頭の話題になったのだ。アタシ達も何故この話題になったのかはよくは分からないのが、それが女子特有の会話ではないだろうか。
「春奈ちゃんはどちらかって言うと弟がいそうだよね。面倒見が良いし」 「そうですか!なんか飛鳥先輩に言われると嬉しいです」
キラキラとした可愛い笑顔を浮かべる春奈ちゃんにアタシも自然と笑みが溢れていた。しかもその後「でもお兄ちゃんも大好きですよ!」と慌てて言い出す彼女の姿が様子が可笑しくて思わず吹き出してしまう。それに対して頬を膨らました春奈ちゃんの頭を軽く撫で、「確かに鬼道君は良いお兄ちゃんだと凄く思うよ」とアタシは口にした。
「うーん、お兄ちゃんも良いけどアタシとしては妹が欲しかったな」
まぁ今更無理だけど。と笑えば以外にも春奈ちゃんは笑いもしないでパソコンから手を離して此方に顔を向けると、満面の笑みで小さく首を傾げてきた。
「私、飛鳥先輩の妹だったら、なりたいです」
サラリと何気無く言われた言葉に、手に持っていた書類が束が机の上に散らばった。
それってつまり……、 (鬼道君と、……えっ?) (あ、別にだったら良いなーって思っただけなんで気にしないで下さい!) (う、うん……(心臓に悪いわ))
――― 春奈可愛い。
2010/02/14
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