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カトレア

114 ある研究者の日誌
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 20XX年 XX月 XX日

 私達夫婦がこのお日様園の担当医としてこちらに通い始めて2ヶ月程が経った。……この仕事を依頼して下さった園の創設者である吉良氏にはとても親切にして頂き本当に感謝してもしきれない。

 園の子供達は皆素直で優しい子達ばかりだ。きっと父親代わりである彼の教育の賜物なのだろう、私達も子供達と過ごす時間はとても有意義であり一緒にいてとても楽しい。
 
 今日は子供達の要望である私達の娘――飛鳥をお日様園に連れて来た。

 “外から来る人”というだけで彼等にしては興味深く、私達にもよく色々な話を話す様にねだって来る位だ。自分達と同年代か近い年頃の子どもはそれ以上の興味がそそられたのだろう。娘を見た途端に沢山の園児が集まり一時は大変な事になった。

 娘も最初は少しだけ困った様な顔をして私の手を握ってきたが直ぐに打ち解けたのか、2〜3時間見ない内に飛鳥が最近修也君と一緒にクラブに入り熱中するサッカーを園児達全員と仲良くしていた。後から聞けば飛鳥が全員にルールを教えたらしい。

 私達でさえ時には手を焼いてしまう程個性豊かな大勢の園児達全員を僅かな時間でまとめ、喧嘩などせず仲良く遊び始めたのだから我が娘ながら恐ろしいものだ。
 ああいう人を引き付ける雰囲気、そして優しい性格はきっと妻から受け継いだのだろう、父親として嬉しく思う。

 娘のこれからの成長と、お日様園の子供達との関わりが楽しみだ。


2010/09/02

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