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夢は、いつも同じだった。
夢には、いつも白兎がいる。
どこまでも続く海の平原に、どこからか伸ばされ、どこかに繋がった橋。
終わりのない橋の途中に腰掛ける私。
目に入るのは、水色の空と、青色の海。
隣にはいつもの、白兎。

海の近くに住んでいるとか、橋をよく使うとか、白兎を飼っているとか、多分、そういう理由では、ない。そんな事実はないのだから。
この世界のどこかにある風景を、夢見ているのだと、思う。

「広いですね」

私の言葉はいつもそれ。広いですね。
白兎はいつも黙って隣にいる。
風が吹く。なぜか、波は立たない。兎は気持ちよさそうに目を細めた。

「行きましょうか」

夢は、いつもと違った。
私は私のものではない私の意志で、橋の上を歩き始めた。兎もその後ろに続く。
橋は、果てもなく続いている。
どこへ行くのか。どこに着くのか。

夢は、いつも同じだった。
夢には、いつも白兎がいる。
どこまでも続く海の平原に、どこからか伸ばされ、どこかに繋がった橋。
終わりのない橋を歩く私。
目に入るのは、水色の空と、青色の海。
後ろにはいつもの、白兎。



(少しずつ進む夢)

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