風邪気味天使
小説 長編 | ナノ

Story               


「…L?」

モニターに目を向けてじっとしているL。
私の呼びかけには全く反応してくれない。

いや、別にいつものことなんだけど…


彼はここ最近、というか2週間ほど一睡もしていない。
気のせいか、いや、確実に隈は前と比べて濃くなっている。
疲れが溜まっているのか、スプーンで角砂糖しか入っていないカップをカチャカチャと音を立てて混ぜている。
あぁ、ソーサーに砂糖落っこしちゃったよ…

「L、少しは寝たらどう?」
「…心配は要りません。あと少しで事件は解決します」
「少しってどのくらい?」
「……わかりませんが、あと少しです」

はぁ…何度言っても無駄なようだ。


「L!! 本当に寝て!! 寝ろ!! 心配かけさせないでよ」
「お気遣いありがとうございます。しかしさっきも言った通り、名前の心配には及びません」


やっぱり。
いつものLじゃない。

「Lの様子がおかしいのも寝てないからじゃない?ストレスすっごい溜まってるんじゃ…
「名前、あなたは私の何を知っているんですか? 本当に頭が回らないんですね」
「!! …分かったわよ、……ここから出てく」
「……」



バカ…Lのバカぁ!!


心配してやってるのに!!


私のことなんかどうでもいいんだ!!



ずっと、Lに無視された私の気持ちも考えなさいよ!!














あの日から一週間が経った。

今は実家にいるが、多分もう居場所は分かっているはず…


いや、Lがそんな事に思考を割く余裕なんて無いだろう。


…頭が回らない、か。
Lのこと、全部知ってると思ってた。


もしかしたら、あれが彼の本来の姿なんだろうか…?




一週間泣きっ放しだった名前は泣き疲れて、泥のように深く眠ってしまった。



ーピピピピピピ

携帯が鳴る。

「…ん……」

誰だろう。朝4時に…

携帯に手を伸ばし、画面を見ると


『竜崎』



…Lだ

竜崎というのはいつ携帯を見られてもいいように、と私が勝手に付けた名前だ。


どうしよう
出ようか


きっと凄い怒ってるんだろうなあ…
出たら…
いや、出よう。いつまで逃げるの、私。


「…もしもし」
「名前ですか、すみません朝早く」
「別に…大丈夫だけど。何?」
「……その、まだ私のこと嫌いになっていなかったら、私の元に帰って来てくれませんか?」
「…」
「すみません、本当に。前の事は謝ります。しかしもう事件は解決しました」
「……いいの?」
「はい?」



信じられない。
怒らせたと思ったのに。
私が勝手に出てったのに。

出てった私がバカみたい。



「台無しだね」
「…?」
「私の家出、いい思い出じゃん…」
「? …そうですか」
「うん、今すぐ戻る」






L、どうやって事件解決したのかな。

そんな疑問を抱きながら、私は元いたビルに向かった。




心配無用


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