今日ツナは獄寺家に招待されてやって来ました。
最近はマフィアの仕事も落ち着いてきたため、ツナもマフィアのボスという立場ながらにも気軽に出掛けられるようになってきた。


だから今日は獄寺家の新しい家族に会いに来たのだ。




「十代目!コーヒーで良いですか?」

「うん。ありがとう」

「今あっちでハルがごはんやってるんで、少し待ってて貰えますか?」

「え?ごはん?」

ツナは不思議そうに首を傾げる。
それに気付いた獄寺は気まずそうに、それでいて少し照れ気味に苦笑した。


「えっと……母乳です」


「あぁあっ!ご、ごめん……っ」

「気にしないで下さい、十代目」

微笑んでツナを落ち着かせる獄寺。


「あ、そういえば子供って男の子だっけ?名前はつけたの?」

「まだです。ハルと凄い喧……、じっくり話し合いをしてる所なんです」


さりげなく目をそらす。
しかしツナにはしっかり聞こえていた。

「やっぱり自分の子供って可愛いんだね」

「いや俺は……そんな」



「はひっ、ツナさん!」

割り込んできた声はハル。しかし部屋に入って来たのは2つの存在だった。


ハルの腕のなかで一生懸命腕を伸ばすその小さい存在。

「わぁっ!!可愛い!!」

ツナはそうっと指を近付ける。それに気付いたのか、その小さい存在は標的をツナの指にかえ、手を伸ばす。

「抱っこします?」

「えっいいの!!?」

恐る恐るハルから手渡された赤ん坊を受けとる。


「うわ…、可愛いなぁ」

「ですよね〜。ハルのハートも持ってかれました!!」

いわゆる親馬鹿全開のハル。そんなハルを見てツナは今コーヒーを入れに行っている獄寺を思いだした。


「さっき獄寺君に自分の子供可愛いかって聞いたら凄い微妙な顔してたけど…」

「あぁ。あの人子供好きじゃないですからね。でも………」




「ハルー、ミルクどこにあるー?」

「えっ、いつもの場所にありませんー?」


ツナに赤ん坊を託したまま台所へと姿を消した。
すると赤ん坊は母親が居なくなったのが分かったのか、いきなり泣き出してしまった。

「わ!ど、どうしよ………ハル―!!」

「どうかしましたか十代目」

ハルと入れ替わりにやって来た獄寺はツナの腕の中で泣き喚く我が子に気がついた。


「こら、十代目を困らせちゃ駄目だろ」



そう言い、赤ん坊の視線の中に入るように除きこんだ。赤ん坊は獄寺に気付くと泣くのを止め、獄寺に両手を伸ばす。ツナはその意味を理解すると獄寺に赤ん坊を渡した。

「やっぱり父親がいいんだね」
「……母親がいるときは俺は無視されますけどね」


我が子をあやす姿は、立派な父親そのものでツナは安堵する。
「どうですか?ツナさん」「うん……。いい父親だ」素直に思った事を口にする。

「でも周りに人がいないと凄いですよ。あの人」
「へ?」
「この前チラッと見ちゃったんですけど、隼人さんあの子にデレデレにやけながら話しかけてたんです」

「……え」

「何だか今にも赤ちゃん言葉になりそうで、ハル凄いドキドキしてますよ…」


"それは見たくないかも…"という顔をして獄寺を見れば、彼は我が子を大事そうに抱きかかえていた。

「………」
「ほら若干にやけてます」「………」
「赤ちゃん言葉はハルが阻止しますので安心して下さい」
「…………うん」



二人のそんな話が聞こえていない獄寺は我が子を高く抱き上げているのだった。


新しい家族が増え、獄寺家は今日も賑やかなようです。











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