飴と鞭 | ナノ


4

『また深夜に中から開けろとドアを叩かれましてもー、俺怖くて今度こそ逃げますよー?』

若い男の警備員らしき男が広い会議室を歩き回る。
二人は息を飲んだ。

『誰もいないところから男が来るとかぁ』

「……っ!上川先輩…!」コソッ
上川がこつこつと黒瀬の中を刺激する。
やめさせようと目で訴えるが、それはどんどんエスカレートしだした。

『それが上川さんじゃなくてもし霊だったらどうするんですかー?』

「……っ、………ぅ…!」
ぱちゅ……くちゅ………
ナカをかき混ぜると、黒瀬が必死に声を押さえる。
お互いの呼吸が聞こえるほど密着した狭い空間で、黒瀬の心臓のドキドキがばれてしまうのではと彼女は恥ずかしくなった。

『開けてって言うから上川さんかと思ってカギ開けてやったら霊だった場合上川さん責任とれるんですかー?』

「もしかして、……さっきより感じてるかい?」コソッ
「は、……は…ぁ……っ…」
上川のシャツをぎゅっと握って快感を逃がそうとする。
しかし虚しくも着実に高ぶっていった。

『……あれ?いないんですか?上川さんの気配したんですけどー?』

上川がまた、いたずらにぐちゅりと奥を突くと、
「んん………っ!!」
と押さえられない声がでてしまう。

『!!』

「「……」」
(さ、さすがに気づかれたか?)

『れ、霊的な……やーつ…!』

震えた声でそう呟くと、一目散に男が部屋から出ていく。

「あいつがアホで助かった」
「せ、先輩!なんでこんなこと、、、!」
「黒瀬ちゃんが好きかと思って」
「な、っ……そんなわけ…!」
「俺がやる前から腰動かしたの黒瀬ちゃんだろ」
「えっ!」
「気がついてないわけか…それでもいいけど。続きしようぜ、とんだ邪魔が入ったな」
「上川さんの、普段の行いがぁ……あぅっ」
「は…俺ももう限界、だし」

カーペットの床に座ったまま、黒瀬ちゃんをぐちゅぐちゅと揺らすと、彼女の体重でより深く繋がった。

「ひ……っ!ま、また、大きく……っ」
「そりゃ、腰ふる黒瀬ちゃんがエロいから」
「ぁ、だ、だって、止まんな……の…」
「……ふ…」
―ずちゅっ
「ぁああっ!先輩、上川先輩…!」
「黒瀬ちゃんってさぁ…いんらん、だよな…」
「んっ!いゃ、ちがぁっ…はぁ、ぁん!ふぁ…」
「ほら、立って…手ぇついて」
「んぅ……っ!」

デスクに手をつき、お尻を上川に向ける。
彼はさわさわとお尻を撫でると、いきなり

ぴしゃん!

「ひっ――――!?」

鞭を彼女に降り下ろした。

ぴしゃっ!

「―や、やめっ!先輩!」
「そんなに痛くないだろ、これジョークグッズだから」

ぴしゃん!

「いっ!痛い、です、からぁ、やぁ――っ」
「あぁ、でも本当だ、ちょっと赤くなってる」

少し赤くなったお尻がじんじんとしている。
それを優しく撫でられる。

「――はっ…ぁ……ん…」
「大丈夫か?」
「うぅ…ぁ、…はぁい……」
「そう、ならいいか」

ぴしゃん!

「――は、ゃ、め――っ!!」
「大丈夫なんだろ?」
「ぃゃぁ――それは、ぁ―無理…んっ!」

ぴしゃん!
撫で撫で撫で………

「ほら、見ろよ」
「ぁっ」

黒瀬の上半身が抱き抱えられる。
上川に背中を預けて立つ姿勢になった。

上川が指差したのは、彼女の足で――――

「―あ、ち、違います…!」
「なにが?」

足を伝う愛液を指ですくった。

「鞭でうつといっぱい出るんだよ」
「ぁ、あ…そ、そんな……」

言いながらお尻を撫でる。
陰部を彼自身でぬるぬると擦る。

「――わ、さ、さっきより…大き……」
「そう?黒瀬ちゃんがコンナコトまで感じてくれるからかなぁ…」

ちょっと乱暴にさっきの姿勢に戻される。
また鞭で打たれると、甘い声がする。
黒瀬は何度か打たれると、意外にも痛みに慣れてきて、ジョークグッズだと言った意味がわかった。
音が派手でビックリするだけであまり痛くないようにできているのだ。

「――んっ…ぁ、ぁう…あん…!はぁっ」
「黒瀬ちゃん素質あるんじゃないかー」
「ぁ!はぁっ、あ!んぅ!ふっ…!やっ…ぁん…」
「お、ここ…ひくひくしてる、欲しいのかなぁ」
「ぁあっ」

にゅぷにゅぷ彼のモノが入り口を軽く出し入れする。

「先輩…………っ」
「して欲しいことはちゃんと言えって言ったろ」

ぴしゃっ!

「――ぁ!あ…!―ほ、…欲しい…ですっ!先輩の……」
「俺の?」

ぴしゃん!

「あんっ!……はぁ、おちん○ん……!!」
「ふ、じゃあ入れてあげようか」

にゅるっ――――

「ひゃっ―……!ぁ……あうぅ…大き…………っは……先輩、…すご……」
息も出来ないみたいに体を貫かれる感覚に涙が出る。

「はぁ――狭すぎ…………」

さすがに上川も黒瀬の息が整うのを待つ。
彼女にはどう見ても負担が大きすぎた。

「……は、はぁ――っ…ふ…………」
「本当に大丈夫かい?一旦抜こうか」
「あぅ……だいじょぶ…………」
「……ほら深呼吸、して…」
「ふ……はぁっ…上川…せんぱ…ぃ…」
「ん?」
「動いて…」
「え…でも、」
「――辛いからぁ…」
「…………わかった…」

にちゅっ……

「んあぁっ!」
「――――っ…」
「んは、はぁ、…ぁ、も、もっと…」
「あぁ…」

――くちゅっ、ぐちゅ―

「はぁんっ!ああっ!ぁう!んっ!」

黒瀬の口からひっきりなしに声が出る。
それに比例してきゅんきゅん締め付ける陰部に、上川が余裕をなくしていく。

「あ!はぁっ…ぁ!ん――!」

ぴしゃん!

「ひっ――――ぁ、あ!あぅ!っは…!」
「まだ締まるわ…」

ぴしゃん!

「ぁ――!あぁっ!あん!ぃう!っは―…」

ぴしゃっ!

「――――――っ!ふ…ぁ、ん!!!」

びくんっ―――
ぷしゃああ

「――ひ…っ…な、なに…ぁんん」
「潮だな」
「し、しお…?ぁ、あんっ…びくびく…って、止まんな…ぃ…!」
「しかし鞭打たれて潮吹くとか…」
「んんっ……!ぁ!あぅぅ……!あっはぁっ!は―!」

もう黒瀬は辛いのが気持ちよくなっていて、上川がたまに見せる優しさから逃れられなくなっていて――。

「はぁ…どこに出してほしい?」
「な、なかぁ……ぁ、あん!あは…!あ、あああっ!!!」
「そんな締めんなよ…」
―ぱちゅんっぱちゅんっ
「ひゃあっ!あん、あ!ああっ、はぁ――っ!!」
「……………は…」

黒瀬のさらなる締め付けを感じ、彼女の腰をぐっと持つと、ぐちゅぐちゅと出し入れしてから一番奥で熱いものを放った。

――――びゅくっ!びゅ…

「あぅぅ」
「大丈夫か?」
「はぃ…」
「あーこれ掃除しないと…黒瀬ちゃんの服もクリーニングだな」
「っ―…はい…はぁ…は…」

まだびくびく痙攣している黒瀬を上川が抱き抱える。

「……は、せ、先輩…」
「ん?黒瀬ちゃん、こっちむいて…」
「ふぁ…」
黒瀬ちゃんが彼に向きな押すと、キスをされた。

「よろしくな」
「は、はい…」

愛しい気持ちと少しの恐怖が入り交じった味がした。







「――いろいろあって俺達付き合うことになったから」
『は!?』

滝川が上川の言葉に身を乗り出す。
昼休み、仕事が再開する前にオフィスの皆の前で高らかと宣言する男に、黒瀬は顔を赤くする。

『マジっすか』
「だから滝川とか滝川は嘘を教えないように」
『――ち、はい…。黒瀬ちゃん、ブレイクしよ』
「で、でも今から仕事…」
『すぐ済むから』
「はい…」


二人はオフィスから隔離された休憩室のソファに座る。
滝川は神妙な顔をしていた。

『まさか、上川先輩と、なぁ』
「お陰さまで…」
『…』
「あ、あの」
『なに?』
「なにか怒ってますか?」
『まさか…もう知ってるかもしれないがあのとき話した先輩のSMの噂はな、嘘じゃない』
「え、でも」
『続きがあるんだ』
「続き?」
『気の強そうな先輩の彼女はな、付き合うにつれ調教されていくんだよ』
「はい?」
黒瀬が目を丸くすると、滝川はため息をついた。
『だから気を付けろって言っただろ』
「話が見えないんですが…」
『つまり、大学時代先輩はどう見てもSな女の人をドMにしてきたってわけ』
「……!!!???」
『先輩の手口は卑怯でな…俺の昔の彼女も…いやこの話はいいや。とにかく、これからだぞ、先輩の鬼畜無双は…あの人はえげつないプレイをするぞ、痛い系よりもな精神的やつをしてくる。たとえば…思い付きのプレイに付き合わされてわざわざ人がいる場所を選んだり、ずっとイかせられたりする。それが辛いのがだんだん気持ちよくなるらしい。それで先輩から離れられなくなる。これは怖いことだよお嬢さん』
「ひえぇ…長文怖い…」
『思い当たる節があるのかい?』
「…うぅ…」
『がんばって!』
「わ、私が先輩の曲がった趣味を更正します!」
『無理じゃね?』
「…できる!」
『無理じゃね?』
「なんで!そんなに!否定的!なの!」
『ははは』
「ねぇそういえばたっきー、なんで鞭なんて持ってたんですか?」
『ん?趣味だよ』
「私もう行くね」
『嘘だよ、忘年会に使ったやつだよ』
「あーあのノリで陰毛に火を―」
『その話はいいから!…コーヒー飲む?』
「うん」

滝川が湯を沸かしだす。

「でも」

『ん?』

「……好きになったらしょうがないじゃないですか」

『…ま、そうだな…』

彼女と滝川のこんな何気ない時間も、黒瀬の恋人の存在で叶わなくなるかもしれない――そんなことに彼は少し胸を痛めた。




end

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