たまに、考える。――例えば、君の手をいつか離さないといけない時が来たとして。俺はその運命に抗いもせずにすとんと君のその細い手を離すのだろうか。

「…なあ、」
「んん?なにー秀星」
「名前は…もし、いつか俺と別れる時が来たら、どうする?」

目を臥せて暫く考え込んでから、分かんない、と呟いた。そして長い睫毛を揺らして瞬きを繰り返しながらも不思議そうに、疑問を露呈した。それが馬鹿みたいに可愛いと思ってしまう自分は、どれだけ名前に溺れているんだろう。その甘い声も、吐息も、瞳も、…名前を構築している全てが自分のだけの為に存在していればいい。

そこまで考えてから、心中で自嘲した。こんな考え方する奴なんてきっと、俺達みたいな潜在犯だけだろうな、と思案しながら。

「何でそんな事考えてるの?いつくるかも解らない未来よりも、このままで続いた時の話をしようよ。…駄目?」
「…え、まあ別に良いけど。怖くなんないわけ?いつか俺ら離れちゃうかもしんないのよ?」

別に話を反らそうと意図している訳じゃないのは分かっているが、少し…そう、不安だった。だから確かな答えが欲しい。名前とこの先別れることになったら。それは、お互いの気持ちが離れることだけを指している訳ではない。俺達の職務上、死別だって珍しくないだろう。そんな事になれば、俺は犯罪係数も跳ね上がって、狂ってしまいそうだ。名前のいない生活、名前のいない世界、これ程無意味な物は自分の中には存在しない気がする。一瞬、無意味な世界が訪れることを思い浮かべてしまって、それから逃げるように目を臥せた。

そんな俺の内心を知ってか知らずか、名前は綺麗に笑みながら言う。

「だって、私は秀星を愛してるもん。…大丈夫、私は秀星を置いてきぼりにしたりしないし、急に消えたりもしなーいよ!」
「…それ、本当?」
「ばかー、大好きな秀星に嘘吐いたりしないもん」
「ん、俺も名前を大好きっつーか…、愛してる」

ふふー、と嬉しそうに抱き着いて甘えてくる名前をぎゅうぎゅうと苦しい位に名前を抱き締めたら、何もかもが上手くいく、そんな気がして。どうでもよくなった。それから、この、どうしようもないくらいに大きく成長した想いが少しでも名前に伝わるようにと、顔の至るところに口付けた。

「ん、擽ったいー」
「まだまだ足りないの、こんだけじゃ俺の気持ち伝わんないって」
「えー」
「…なーに、嫌なわけ?」
「…違う。そうじゃなくて、私は額とか頬にキスして欲しいんじゃないから、言ってるの」

ああもう。何でこんなにも俺を掻き乱すんだ。けど、今日は何かナーバスになっている分、気持ちとか理性とかに制御がきかない。たぶんその柔らかい唇を食んでしまったらもっとと求めてしまうんだろう。分かってる、それでいて今日は名前を離せなくなってしまうことも。明日も仕事だとか、理性だとか、そんな建前さえもちっぽけな何かになって隅に追いやられた。
とさり、とソファーに名前を押し倒した音がやけに自分の耳に響く。

「そんな事言われたら、俺止まんなくなっちゃうよ?」
「いえーっす、そんな事分かってますとも。…でもね、こうやって秀星が私の存在を確かめてくれれば良いよ。私も秀星と今、愛し合ってるってこと刻むから。不安にさせて、ごめんね」
「…ん」

名前の手のひらが俺の頬を撫でるのを感じながら、苦笑した。何だ、全部分かってた訳ね。もう、理性を塞き止めるものもない。自分の欲求に素直に従う。美味しそうな紅い唇に噛み付く。やわやわと食んで、舌を入れた。ぬるぬると絡み合うそれが酷く艶かしくて情欲を煽る。するりと服の裾から手を忍ばせて、ゆっくりと身体のラインをなぞる。びくり、と小さく身体を奮わせて感じている名前の服を捲り上げる。ちゅくちゅくとディープキスで立つ水音と、熱が籠った吐息だけが聴覚を侵している。名前の身体を少し浮かせて、ホックをぷちりと外す。それからすぐに直に柔らかい胸に触れる。感触を楽しむように触れていたけど、名前の感じてる声が聞きたくて、突起を押しつぶした。

「っは、あっ」
「かーわい。もっと声…聞きたい」
「…んん、しゅう…っ」

きつく目を瞑って、快楽を享受している姿を見ていると、虐めたくなる。首に軽く痕が残る位に噛み付いてから、強い快感を与えないように弱い快感だけを与える。

「…や、あ…!」
「んー?何が?」
「それ、やだ…っ」
「それ?」

薄く瞼を開いてこっちを見つめる瞳の奥には、確かな欲情が燻っていて、ぞくりとした。言ってくれるように、突起を軽く爪で掠めると、小さく啼いた。それから震えるように口を開く。

「ちゃんと、…触って」
「胸だけでいいの?」
「――下、も…」
「りょーかい」

お望み通りに、とするすると下腹部を伝って下着の中に手を入れる。割れ目をなぞればぬるぬるとした愛液が指を濡らした。ぐっ、と指に力を入れて中に侵入すれば、ぐぷりとイヤラシイ音がする。

「…わーるい子だなあ、名前ってば。凄い濡れてるけど。好きなんだ、焦らされるの?」
「ち、が…っひゃ!」
「嘘は良くないでしょー、嘘は」

既に把握済みの、名前の一番良いところを擦る。とろとろと流れてくるそれがもったいない。にちゃり、指を抜いた。途端物足りなさそうな顔をする名前に、体をずらしての秘部に顔を近付ける。そして、じゅるると愛液を啜る。美味しくないはずのそれがやけに甘くて、もっと出るように舌を出し入れした。

「あっ、あっ、や…っ」

にちゃにちゃと音を立てながらもどんどんと愛液が溢れる。中の収縮具合に、もうそろそろか、と舌の出し入れを激しくする。

「っんん、…しゅ…イっちゃ…っ」
「ん、イっていいよ」
「…しゅう…っ、ふ、ああ…っ!!」

間際にクリを親指でぐり、と押せば、名前はびくびくと痙攣しながら呆気なくイった。またとろとろと愛液が流れる。それを舐め取ってから、愛液で濡れた口を拭った。

「…どーお?焦らされた後の快感は」
「仕返し…するから…」
「はいはい、」

はあはあと肩を上下させながら息をする名前に、今度は自分が開放されたくて仕方なくて、ベルトのバックルを外した時、

「…してあげる」
「は?」

体勢が反転して、名前が上に。一気にズボンと下着を下げられて、自分の性器を握られる。

「…っ、珍しいじゃん」
「ん、…秀にも同じことしてあげようと思って」
「あー…、っは、」

ぱくりと口にくわえられて、熱い舌で舐められる。時々悪戯にちゅう、と吸われたら射精感に襲われるけど、根をきつく握られている為にイきたくてもイけない。これの繰り返しで、いつまで続くのか気が遠くなる。

「…な、あ…っも、イきたい…」
「…」

何も言わず、ただ快楽を与え続ける名前に、これは相当な負けず嫌いだと思った。まさかセックスでも負けず嫌いがはたらくとは予想外だった。満足がいくまで付き合うしかないのを悟ったが、夜はまだまだ長い。










**
◎愛に苦楽
お互いがお互いに溺れているから苦しくも甘い


これは雑談マガで書き下ろしたSSSをリメイクしたやつ。
いやあ…当初の話しよりもだいぶかけ離れたなあ…( ´△`)もしもこれのSSSが読みたいという方がいらっしゃいましたらご一報下さい。

拍手で縢短編にうきゃあああとなさって下さった方に(笑)

ううん…私の願望しか詰まっていない文だ…!← もう秀星に死ぬ程愛されたい甘やかされたい(^O^)



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