▽アニメ二話より




常守監視官にパラライザーで撃たれた、そんな事実が頭を駆け巡りながら眠る慎也を見詰めた。私は宜野座さんと居たから、ぎりぎりその場面を見てしまった。最初こそ本当に常守監視官を嫌いになりそうだったけれど、ぺたりと地面に座り込んで呆気にとられた顔を見ると、常守監視官も色々気持ちが追い付いて無いことが分かる。私は行き場の無い怒りをぐっと抑えて常守監視官に手を差し伸べた。…暖かくて細くて震えていた。理由を征陸さんに訊けば、とても優しい女性なんだなあと思った。ここでは優しさを持っている程辛い、故に優しさを持ち続けることは困難だ。だから常守監視官にはそのままでいて欲しい、と思う。きっと、彼女は何か良くも悪くも影響を与える、そんな気がするんだ。

そんなことを考えながらぼーっと慎也を見詰めていると、慎也の長い睫毛が揺れた。

「…慎也、」
「…名前か」
「なあに、私で残念だった?…今日は調子が良さそうで良かった。志恩さんも明日にはいつも通りになるって言ってはいたんだけど、ね」

起きたばかりでかだるそうにしている慎也の頬をつつくと、嫌そうな顔をした。…うん、精神的にも以上はなさそうだ、なんて潜在犯の私達が言うのは戯言でしかないけど。内心苦笑いをしていると、緩やかに腕が引っ張られてそのまま慎也の胸に飛び込む。いつもより弱いその力に、くすりと小さな笑いが溢れた。

「何か、慎也可愛い」
「…」
「あ、今イラッてしたでしょ。…だっていつもより大人しいし、甘えただし」
「力が出ないんだ。しょうがないだろ。それに甘えてもない」
「ふーん、まあいいけど」

じゃあどうして私の腕を引いて抱き締めているの、なんて野暮なことは訊かない。私も気持ちは一緒だからだ。するりと柔らかく髪をすかれて気持ちが良い。

「慎也、」
「どうした?」
「…何でもなーい。呼んでみただけ」

私も甘えたくなって慎也の胸に頭を擦り寄せれば、ぎゅっとより強く抱き締めてくれる。幸せだなあ。私は秀星くんみたく小さな頃から潜在犯だった訳じゃないけど、それでも潜在犯として連行された時には絶望したものだった。けど、今ここにある温もりは、潜在犯じゃなきゃ無かった。皮肉だけれどそれでも良いと思えるのは慎也が側に居てくれるから。

「慎也、」
「…今度は何だ?」
「…――だいすき」
「…俺も、…好きだ」
「ふふー」

あまり言葉で言ってくれないから、顔が緩んでしまう。やっぱり好きだなあ、とか思っちゃうのは恋する女の子(っていう年でもないけど)にはあることだろう。たぶん。

そして、今日はもう非番だ。この温もりを離しがたいから、このまま寝ていたい。けど、やっぱりずっとは無理な話しだろうから、少しだけ、と眼を閉じた。

夢でも貴方に逢えるといい










**
◎名前を呼ぶことさえも、
ただの愛情表現に成り果てた


慎也が誰状態wwww
うにゃー誰か文才と慎也のキャラ設定を海月にorz



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