「こまる、みんなを呼んで来てくれる?」
「?・・・暫しお待ちを、大広間で宜しいですか?」
「うん。戦うお仕度をしてきてもらってね」
「!・・・わかりました」


政府からの文を読んでいた華が顔を上げずに告げる。
小狐丸はぴくりと反応し、華の口から滅多に聞かない言葉に
眉を僅かに動かし、一礼して部屋を出て行った。



―――――・・・・。


「みんな、あつまってもらってごめんね」
「何を仰います、華様」
「あのね・・・政府からお手紙がきたの。それでね・・・」


言いにくそうに、出陣の命や何か大事な用を言うときにしか
上がらない上座の椅子に華は座り俯く。
皆何事かと疑問を持ち、以前の政府の件もあり、警戒する者もいた。


「大演練会?」


各地の審神者を集め、日々の鍛錬の成果を見ると言う。
新人の審神者にとっては、上の審神者の刀剣男士を見ることで
目標を持ってもらい、鍛練に一層力を入れてもらうのが目的。

また、上の審神者には新人の頃の気持ちを思い出してもらい、
これからも精進してもらう、又は自身よりも強い者をみることで
新人同様に目標を定めてもらうというものらしい。

そして、審神者の長である華も、長とはいえ審神者歴は浅い。
故に、相手は新人らと当たるらしいが。


「なるほどね、演練の皮を被った実力調査か」


清光が目を細める。空木が重役になった今でも
未だに完全に二派閥が消えたわけではない。
燻る残党による、華の様子見の口実という訳だろう。


「まだ諦めておらぬか・・・」
「なれば、我々の実力を見せつけてやればよいのです」



手を出したら死ぬ・・・と。


「それはよいな小狐」
「ふふふ・・・」
「こまる?」
「何でもございませぬよ華様」
「それで、華様。出陣する者は・・・」


長谷部の言葉にしんと広間が静まり返った。
この中から六振が選ばれるということだろうと。
自身の名を呼ばれるのを皆期待して待つ。


「華の代わりに、僕が名を書かせてもらったよ」


歌仙が巻物を手に、華の元へ向かう。


「ありがとう、かせん」
「どういたしまして」


目を閉じて息を吸い込む。



「これより読み上げる刀剣男士は呼ばれ次第速やかに移動!!」


凛とした華の声に皆の体が強張る。
真剣で、主命を出す時の華は、儀式を終えてからというもの
どこか大人びたような気がする。それでも体は小さいままだが。


―――第一部隊!!

隊長―太刀、三日月宗近

「隊長か、あいわかった」


―――第二部隊!!

隊長―打刀、歌仙兼定

「恐悦至極!!」


―――第三部隊!!

隊長―打刀、へし切長谷部

「!!・・・はい!お任せ下さい。何でも斬って差し上げましょう!」


―――第四部隊!!

隊長―太刀、一期一振

「確と!」



以上四振隊長に各隊の編成を任せます!!


「ただし・・・条件として」


短刀のみ、編成に組み込めないものとします。


その言葉に、当然固まったのは短刀らである。
何故自分たちは組み込まれないのか。


「・・・華は、皆にも頑張ってほしかった・・・けど・・・」


空木曰く、派閥の嫌がらせだという。
華の本丸の短刀らは当然錬度は高い。
前審神者の采配の賜物だと、短刀の彼らも思うところがある。

そして、どうやら総会で平野と前田を連れて行ったことも
影響しているようで。


「幼稚な頭の持ち主がいたものだな」
「見くびってもらっては困るんですが・・・」
「でも、せいふはぼくらをむしろこわがってるってことですよね」
「ああ、それなら少しは気分も晴れらぁな」
「なぁんだ、要するにボクらが強すぎるから出さないでってこと?」
「なんだよー、せっかくの祭りなのに」


不満そうではあるが、渋々納得はしてくれたようだ。
一期がどこか複雑そうな表情をしているが。


「だから、短刀の皆は本丸でお留守番お願いします!」










×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -