「っと!・・・孫様じゃねえか。どうした?」
「兼!かくしてかくして!」
「隠す?ああ、隠れ鬼か。あいよ」


にやりと笑って、頼ってきた小さな宝の幼女を背に隠す。
黒く艶やかな長い髪の中に隠れる様に、思わず吹き出しそうになるが。
そこは堪えてやらねば、ばれてしまう。


「兼さん!孫様みませんでしたか!」
「何だよ国広。まさか見失ったんじゃねえよな?」
「ち、違います!今日は護衛当番なんです!見失う訳ないじゃないですか!」


かなりの焦り様に、些か心配になる。
確か今日の孫様の護衛当番は国広と山姥切の筈だ。
国広がこの有様だと、山姥切は何をしているのか。


「でも今俺に聞いてきたよな」
「うっ・・・」
「山姥切は何してんだ?」
「孫様に布を汚されてしまったので洗い場に。」
「洗い場に行くのを見送ってたらいつのまにか孫様がいなくなった。こんなとこか」
「うぐ・・・っ」
「(図星か・・・)」


全く、この審神者の結界の強力な範囲の中、
まず何が起こることもないのだが、
護衛が出来ていないとなると万が一の時も困る。
それに、そろそろ国広も精神的にまいってきている筈だ。


「孫様の護衛も大事だけどよ、真面目になりすぎて退屈させるのもよかねぇんじゃねえか?」
「・・・け、けど兼さん。もしも孫様に何かあったら・・・怪我とか・・」
「ばぁか。怪我させないためにお前が当番なんだろうが。」


護るのも勿論だが、護るだけじゃなく孫様を孫様らしく
過ごさせてやるのが当番の仕事なんじゃねえのか


「孫様よぉ。国広が別の遊びしようって言ってるぜ」
「え?兼さん?」
「くにー!!ばあ〜っ!!!」
「うわぁ!?」
「どうだ!華が出てきておどろいたか!」
「おいおい、どっかの鶴のマネはやめろよ」
「ま、孫様ぁ・・・」


育ち盛りの御姫様の護衛も、
楽なもんじゃありません。











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