0はおまけです。
これを読めば、なんで歴史修正主義者出てきたのに?が
解き明かされます。短いです。
それは、ある雨の日の出来事。
「アジサイきれいー!」
傘をさして、庭に咲いたアジサイを眺めている華の姿を、
遠目に微笑ましく見守る審神者に、長谷部は茶を入れていた。
がさがさ・・・・
「む?・・・」
アジサイの葉が突然揺れて、興味津々に華は覗き込む。
そこにいたのは、犬でも猫でもなくて。
「・・・・へびさん??」
赤い眼をした、ボロボロの短刀を咥えて震えている骨。
たしか、ばっちゃに教えてもらったわるいやつだったような。
でも、この本丸のお外にいるって聞いたはず。
「どうしよう・・・」
かなり弱っているそれに、華はどうしたものかと悩んでいた。
ごそごそと首から下げていた御守をはずして、骨の首と思われるところにかけてやる。
「ごめんね。たぶん、みんなにおしえたら、たいへんさんだとおもうの」
孫様ー!!そろそろお入りください、風邪を召されます!!
長谷部の声にびくりと肩が震える。
「元気になれるといいね!」
慌ててその場を華が離れるのを、それは見ていた。
――――・・・・。
次の日、雨は止んでいた。
こっそりと華はアジサイの葉をかきわけて、昨日と同じように覗き込む。
ボロボロだった短刀は綺麗に修復されて、昨日の骨はそこにいた。
御守は消えてなくなってしまっていたのだが。
「よかったね、元気になったね!」
今度はこっそりと持ってきたおやつを差し出す。
それを遠目に見ている審神者に華は気づいていなかった。
「如何いたしました、主?」
「・・・いえ・・・少し、気になることが」
―――――・・・・。
夜、審神者は供も連れずにアジサイの葉の前に立った。
「・・・・どうやって潜り込んだのかはわかりませんし、敵意がないのを感じます」
がさり、と、骨は葉から姿を現した。
「今回だけは、見逃してあげます。あの子の優しさに免じてです」
次はしかし、見逃すことは出来ないでしょう。
「おいきなさい。」
空間の歪みの入口を開けて、骨が入るのを確認する。
後ろから長谷部が何かしら慌てて叫んでいるのが聞こえてくる。
「歴史修正主義者は、刀剣男士の闇堕した者だという説もある・・・か・・・」
長である自分が、情をみせて逃がしたなどとあってはならないのだけれども。
あれだけ回復しているということ、そして華にあげた御守がなくなっていること。
あれには自分の霊力が込められていた。一度力尽きて折れてしまったが
恐らく霊気を吸い込んで生きながらえたのだろう。
「主!!今何か気配が!!」
「大丈夫ですよ。結界の修復をしていたので」
後に、まさかあの蛇の骨が恩返しのように現れる等と。
考えられるわけがないのである。