「華様、お目覚めの時間です。御起床を・・・」


身形をきちりとただして正座する長谷部の声が響く。
しんとし、返ることのない返事に訝しげに思いながらも
たまには寝起きの悪いこともあるだろうと、一度咳払いをし
もう一度声をかけてみる。


「華様。昨夜はまた勉学を遅くまでされていたのですか?」



・・・・・・・



「・・・・華様?・・・まさか・・・っ失礼いたします!!」


嫌な予感が脳裏に浮かび、長谷部は勢い良く障子をあけた。
部屋の中は綺麗に整頓された空間になっている。
長谷部は額を抑えて肩を震わせていた。


そんな姿を見つけ、苦笑しながら通りがかった薬研が声をかける。


「長谷部の旦那。・・・またやられたか?」
「ッッ・・・小狐ぇええええ!!!!」







―――――――――――・・・・



「くしゅん!」
「主様?大丈夫ですか?お風邪を――」
「大丈夫!でも、長谷部また怒ってないかな?」
「早起きをして本丸周辺の見回り(という名の散歩)が悪いことではありますまい」
「うーん・・・でも、やっぱり置手紙くらいは」
「この狐がついているのです。御安心を!!」
「・・・うー・・」


近頃朝部屋に華がいないときは、ほぼ9割小狐丸による
華独占欲暴走の結果である。当然本丸に帰還した際に、
長時間のお説教が待っているのだが、懲りる様子はないようだ。


あれから4年。華も誕生日を迎えれば、晴れて審神者の儀が出来る歳。
ここまでの歳月は時々は現代にいっていたが大方を本丸で過ごしてきたこともあり、
かなり長い時が経過していた。


身長も少しのびて、顔つきも幼さはまだまだ残っているが
大人びてきているのがわかる。成長していく様に、本丸の誰もが
喜び、笑みをみせて、自分たちの真の審神者になる日を待ち望んでいた。


そんな中で、それを阻止せんとする不穏な影が迫ることに


この時誰もしる由もない。









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