※零章は一章〜三章を読んでから読むことを激しく推奨※
一から三章を読んでからの方がいいです。
念のために先に読んでも問題ないように出来るだけ考慮してますが


ほぼ、ネタバレです。


33、月が泣いた日を読んでからの方がいいです。























「この宿った子の親が誰であるのかを知ることは、出来るのですか?」


戸惑いが含まれた声で、審神者様はお聞きになられた。
勿論、腹に子が宿っているのを伝えたこんのすけと、
政府の暴政派、心酔派の間に隠れる派閥の長である
私(名を空木と申す)だけが
真実を知る者と現時点ではなっている。


「・・・後悔、されませんか」
「後悔するような相手なのですか」
「いいえ。覚悟あるお言葉に対し、御無礼をお許し下さい」
「いえ。・・正直に言えば・・・不安しかありません」


普段凛とし、誰に対しても弱さを見せたことのない
審神者様が、その口からはっきりと不安を言葉にされたことに
驚きつつも、私は話す覚悟を決めて告げた。


「・・・三日月宗近、です」
「・・・・・・」


そう、ですか。



その日、審神者様はそれ以降口を開かなかった。



このような事態が政府に知れれば、
荒れるどころの騒ぎではなくなってしまう。
経緯はどうであれ、刀剣男士と審神者の、
しかも長との子ができてしまったのだ。
直接の行為がないにしても、二派閥が黙っているわけがない。
政府よりも、審神者様の身が危険に晒されるかもしれない。
それだけは、避けなければならない。

目を覚ましたら、こんのすけと話して決めたある計画を
審神者様にお話しようと思う。


審神者様にとって、辛いことになる。
けれども、審神者様自身、そして


産れてくる子供の為にも、この計画は通して見せる。



翌日、目を覚ました審神者様に、私は計画をお話した。



―――腹の子供を、御自身の子ではないと、偽りましょう、と。





現世にて婚約し、出産し、その娘が産んだということにするのです。
相手はいなくてもいいのです。政府の者に聞かれたら
私が偽りの書類等を準備いたします。
その辺りは、御心配には及びません。



ただし・・・・・



審神者様には、時を早める空間に入って頂き、
その御身を・・・・――――


全てを言い終わる前に、審神者様は目に涙をためて
私の手を取り、一言


「ありがとう」


と、告げた。



その時の審神者様は、ただ己に宿った子が護れるという
喜びで涙していたのだと言っておられた。
己が老いてしまうというのに、何よりもそうだ。


三日月宗近に、真実を告げぬままにことを進めてしまうこと。


一度だけ、極秘に本丸にお戻りになられ、
若い姿身で最後に皆に会っておきたいと言っておられたが


果たして、三日月宗近は、この話をすることがあるのならば
どう思い馳せるのだろうか。



――――空木の日誌より。


空木は真実編に登場予定です。







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