「華に近づかないで下さい!!」
「あき兄ぃ・・・」
「大丈夫です!後ろにいて下さい!!!」


政府からの火急の知らせがあると聞き
速足で転送門へ移動していた華であったが
思わぬ来訪者に足止めを食らっていた。
偶然異変を察知した秋田が華の前に立ち
本体をぬいて対峙するが、目の前のモノは下がる気配はない。


そう、審神者を襲ったあの女だ。


「華!?秋田君!!」
「ほ、堀川さん!て、敵襲です!!」
「・・・敵襲とは、無礼であるぞ・・・」
「っうあああ!!?」
「あき兄ぃ!!」


女の影が高速で秋田の下に潜り込み
秋田の小さな体を赤黒い光で包み込んだ。
堀川が慌てて本体をぬいて女の背後に駆ける。


「遅いわ・・・っ!」
「っ・・!?(一撃が重いっ!)」
「くに!!はなれて!!!」
「無駄なことよ・・・本当にお前は愚かな餓鬼」


ばちりと本体が弾かれた堀川が距離を取ろうとしたが
赤黒い光はそれを逃すまいと纏わりつく。
体の奥から浸食されていくような、吐き気を覚える感覚が
全身を巡り支配していく気がする。


「やめて!!二人に何もしないでっ」
「気安い。母に無礼であろう」
「?・・華には、ははうえもちちうえもいないよ!!」
「餓鬼・・ワタクシの母上から何も聞いていないようだ」


審神者と師弟関係を結ぶ者らは、


師を母と呼び、
弟子を子と呼ぶ。


そう、母上はワタクシの師であった。
餓鬼が産れるまでは、次の審神者はワタクシだった。


それを、餓鬼。お前が産れたことでっ!!


師を孕ませた者は未だわからぬが
餓鬼が産れたことによってワタクシはいらぬモノ。
霊力を政府の者の神器により奪われ
餓鬼に与えたのだよ。そう!!貴様になあ!!!
故にワタクシは、その歴史を変えてやろうと思うてな。


想い願うまま月日は流れ、今や祟り神のようになってしまったわ。


ワタクシは政府の暴政派に潜り込み、
貴様を殺す為に奴らを呪い従わせた。


そう、貴様が現世へ連れて行かれたのも全てワタクシの計画。
まさか母上が知恵を働かせていたとは思わなんだが。



騒ぎを聞きつけて他の刀剣らが駆けつけてくる。
女はにたりと笑みを浮かべて華を冷めた眼で見下ろす。


「他の奴らもそこの塵のようにされたくないならば」
「だめ!!なにもしないで!!」
「・・・その後ろの門をお前一人でくぐれ」


華が後ろを振り返ると、転送門が行先を表示していた。



―――墨俣―――


「だ・・め・・・だよ・・っ華・・・ッ!」
「くに・・・」
「いっちゃ・・ダメ・・です・・」
「あき兄ぃ・・・」


一歩ずつ、女は華に近づき
それと同じく、華は下がる。


「華様!!!」
「華!!」


「安心するといい・・お前が死ねば」


ワタクシが審神者ニなれる


どんっと、華の体は突き飛ばされて
転送門を潜り抜ける。


体を起こした時には、門は閉じていた。


――――行きはよいよい


お帰りは・・・?










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