蔵から出て、眩しさに三人は目が眩んだ。
ゆっくりと目を開けると、そこに人の影が見えた。
蛍丸が大太刀を抜き構えようとするが


「俺だ。よくやったな皆」
「!・・・三日月」
「無事に、成功したみてぇだな」
「薬研も意識が戻ったか。安心したぞ」
「すまねぇ」
「まだ他の者らは眠っておる。起こしに行くぞ」


薬研は兄弟の元へ、蛍は大太刀を。
小夜は打刀と脇差、三日月は太刀を起こしに向かう。
遠くから短刀らの声が聞こえだす。
薬研が目を覚ましたことで騒いでいるのだろう。
騒ぐ元気があるのならば問題はない。


皆無事に意識を戻し、広間へと集まる。
事情を三日月、そして意識のあった蛍丸と小夜が説明する。


いなくなった審神者。
連れられた孫様。
不信感を持ってしまった政府。


皆思うことはあるだろう。


「薬研、具合はどうだ?」
「嗚呼、大分楽になってきてる」
「ならば、一つ頼まれてくれるか」
「任せてくれ」


問題ないと言ってはいるのだが、
まだ心配なのか一期が兄弟の肩を借りろと言う。
苦笑して断るのだが、どうやら無駄のようだ。
平野と前田が左右について、三日月の元まで支えてくれた。


「華の傍に薬研の本体が居る筈。目を閉じ、本体に意識を集中してみよ」
「・・・・・・。」
「何が見える」


暗い、場所だな。
どっかに格子窓があるのか?
月の灯りが隙間から入ってくるくらいだ。
なんだ・・・、蔵、か?蔵にしては狭いが。
・・・泣き声?


「!・・孫様」
「!!・・・。」


皆が息を飲むのがわかった。

意識を乱さないように、集中する。


「・・・っみんな・・・どこぉ・・・ッ」


すすりなく声と、鎖の音。
見つけた。隅の暗がりの中で。
柱から伸びる鎖につながれた、小さな体。


孫様が、泣いている。


「かえり、たい・・・っ」


何故暗いのか今理解した。
孫様がうずくまって、本体を抱いているからだ。
慰めようにも、それが出来ない。

なんと歯がゆいのだろうか。


「・・・孫様は、無事だ。だが、監禁されてるみたいに見える」
「軟禁よりタチが悪いな」
「薬研!孫様の場所わからないのか!!」
「悪い・・・俺が見える範囲だけでは・・・」
「生存が知れたことがまず一歩」


向こうと此方の時の進む速度は違うと聞く。
審神者が言っていた。現世と此方は世界が違うと。
故に時の流れも違い、今華がいる場所のほうが
此方よりも早く進むという。


「我々が一日を過ごす間に、孫様は」
「うむ、成長されることだろう。それが政府の考えだろうな」
「で、どう出るんだ」


同田貫が腕を組んで言う。
何人かは同意見のようで、視線は三日月に向いた。
三日月は暫く思案する素振りでいたが、
顔を上げて笑みを浮かべた。


「作戦会議、というやつをしようではないか」











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