※0はおまけです※

炎と痛みと
samsara
迷子 を読んでから読むのをお勧めします。

――――――・・・・。



手入れ部屋にてごろりと転がり暇を持て余していた矢先。
慌ただしく何やら良くないことが舞い込んできた様子に
鶴丸国永は身を起こし身形を整えた。
その際つきりと左足が痛んだが、すぐにそれは消え失せた。
まだ暫くかかるだろう、忙しなく自分の本体をぽんぽんとしている
妖精の姿に苦笑しつつ、障子を少しだけ開けた。


「平野、何事だこの騒ぎ?」
「つ、鶴丸様!まだ寝ていて下さい!」
「わかった!状況だけ教えてくれ」
「政府に演練に行っていた部隊が帰還したのですがっ」


後に続いた言葉に、ひやりと血の気が引いていく気がした。
平野は何と言った?大和守に貞坊が重傷?

それに、お嬢が誘拐だと?


隣の手入れ部屋に運ばれていく大和守を障子の隙間から
視線だけで見送り、次いで運ばれてきたのは貞坊だ。
あの貞坊が、泣いているなんて・・・。


「貞坊、大丈夫か?」
「!・・・つる・・・っ」
「鶴さん、貞ちゃんは僕達がついてるから安心して休んでて」
「・・・・寝てろ」
「・・・・嗚呼」


そうは言ってもだ、そういう訳にもいかないだろう?


ぴょんぴょん飛び跳ねて必死に引き止めようとする妖精に
悪ィなと声をかけて、戦装束に身を包んだ。
貞坊達に気づかれないように静かに部屋を出る。
まだ手入れは完全に終わってはいない。
しかし、痛むのは足だけだ。他は支障はない。
廊下を歩いていると、膝丸に運ばれる髭切の姿があった。


「鶴丸国永?もう出てもいいのか?」
「ああ、そうでなきゃこんな所にはいないさ」


さあ、早いとこ運んでやれ。


背を見送り、悟られぬように平静を装いながら
痛む足を無視して鶴丸は手入れ部屋のある廊下から消えた。




―――――――・・・。
後書き

炎と痛みと〜samusaraの安定らが本丸に帰還した時のお話。
手入れ時間が終わっていない状態で抜け出した鶴丸。
柱にやられた足は思った以上にダメージが大きかったようで。
しかしそれよりも華が危ない故に動いてしまった彼。








×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -