「三日月宗近を引き渡せ!!」
「帰ってくれませんかあ?今忙しいんですけど〜!」
「・・・・三日月は、留守だ」


転送門に石切丸と太郎太刀で何重にも結界を張り
政府の人間を入れないようにしていた。
芍薬から連絡が入り、本丸に時の政府―心酔派―が
三日月宗近を刀解処分にするため連行しに向かうと聞かされたのだ。

門の前では鯰尾と骨喰が呆れた様子で返答している。


「やれやれだね」
「・・・しかし、何故急にこのような」
「何か、強気になれることがあったのかな?」


「骨喰!馬糞投げつけてやろう!」
「兄弟・・・投糞兵を作ろう」
「いいねそれ!!」


――――・・・・・・。


「主様、どうなされました?」
「泣いていてはわからんぞ、華・・・」


奥に隠れていた三日月と小狐丸は
急に泣き出した霊体の華に、何かを感じ取り
どうしたものかと思案していた。


「ひっく・・・ッごめん、なさい・・・」
「何を謝られておいでなのか・・・」
「華が・・・ッ・・・華がわるいこ・・・してるの・・・ふええ!」
「悪い子・・・?」


「闇堕ちですよ」


宗三の声に一同に動揺が走った。


「僕の声は・・・残念ながら届かなかったようです」
「華の瞳から、綺麗な三日月模様がなくなったからねぇ・・・」


青江が息を一つ吐いて顔を伏せた。


「瞳の月が消えた途端、怯えるように消え去りました」
「此処へ帰ってきていると思ったんだけど・・・誤算だったか」
「・・・主様が・・そのようなことになるとは・・・」
「時の政府の人間が急遽押し寄せてきている。関係ないとは思えん」
「狙いは、恐らく三日月、君よりも・・」


―――嗚呼、華だろう。


誘拐事件の男の処遇について、何も聞かされてはいない。
そもそもあの男と仲間含む三人だけで、あの誘拐計画は成功するはずがないのだ。

政府の管轄の土地に、あのような屋敷を構えていた。
設備も年期が入っていたこともある。


「これは、俺と父の推測なのだが」


時の政府―心酔派―とは、
神の血を宿す人間である華を
得ることが目的なのではないだろうか。


審神者の葬儀にて起った拉致事件。
救出に向かった際、あまりにも手薄で
上手く事が運びすぎたと思っていたのだ。

暴政派による拉致であったが、
手薄であったのは心酔派による何かしらの
工作はあったのではないだろうか。


つまり、あれも計画の一つ。


華が産れた時点で、すでに始まっていたのだろう。

その答えとして、幾度となく心酔派による

――歴史改変――が行われたのだろう。


そう、彼らは時を遡る術を持っている。
誘拐事件の男も、繰り返したと言っていた。


時間遡行軍なぞ、心酔派からすればどうでもいいのかもしれない。


ただ、自分たちの「幼き神」を得たいが為。


「父による調停者とする発言により、政府と華は切り離された」
「つまり、華が手に入らないのならば、殺してしまおうと?」
「恐らくは。俺が刀解され、父も消されてしまえば後は」
「子らも消されて、残るは華のみぞ・・・」
「そうなれば手中にするのみ」
「なんと・・・何という・・・・ッ!!」


ぎりりと唇を噛みしめて小狐丸は唸った。
人の欲の為に、己の命よりも大切な華の命を
奪われんとしているのだから。


「ひいさん戻ってへんか!!」
「明石君?どこへ行っていたんだい?」
「待て、明石よ。戻っていないとはどういうことだ」
「今のひいさんには、自分らが見えてへんのです!!」


庭から騒がしい声がする。
霊体の華が視線を向けて突然駆けだした。


「華!?」
「追うぞ・・・!」










×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -