「では、この赤子は主様の霊力の塊ということですか?」
「恐らく。華自身はすでにどこかの時に飛んでいる筈」
「なれば、どこへ・・・」
「検討がつかないな・・・そもそも動機は何だ?」
「ふええ!!」
「な、泣かないでおくれ華?!」
「歌仙君落ち着いて!ええと、赤ちゃんて何をあげればッ・・」
「光忠・・・お前が落ち着け」


大鏡の空間から引き返し皆に事情を話して状況を確認した。
小烏丸が言うには、赤子は華ではあるが本人が小さくなった訳ではなく
内に秘める霊力を鶴丸が連れ戻そうと掴んだ際引出し出来てしまったのだろうと。
つまり、今の華は神力のみ内に秘めていることになる。


「神力が神の血とすれば、霊力は人の血としよう」
「つまり・・・」
「両方あってこその華。どちらかが欠けては不都合」
「命に係ると?」
「分離以前に、まずいこと」


華が時を渡る目的が、


―――――歴史改変だとすれば?


「お、お待ちを父上!何故主様が歴史改変など!!」
「他者の歴史の改変ではないのやもしれぬぞ」
「・・・どういう?」
「・・・・・・・父よ」
「何ぞ三日月の子よ・・・」
「まさか」


己の生の歴史を改変しようとしていると言いたいのか?


三日月の言葉に皆の表情が強張った。
何故、どうして、疑問は止まない。


「華が他者に何か危害を加えようとするとは思えん」
「なれば何を変えようと言うのか三日月!!」
「二振り共、落ち着くんだ」
「・・・石切丸?」


間に入り込み、掴みかからんとしていた小狐丸を制す。
石切丸の手には妙な物が握られていた。


「それは・・・」
「青江が残した物だ。これを伝えに来たんだ」
「・・・遡行軍の短刀の、骸か?」
「その一部だね。骨の欠片だ」
「何故本丸にこのような物が?」
「・・・・青江の文に書いてあったよ」
「文?」


華が鏡の空間へ向かう前。
廊下を歩く彼女を青江は見たらしい。
青江は華の身体から骨が浮かぶのを
薄らと見つけ感じ取ったようでね。

彼も、内に・・・飼っているからね。
それを僕らに伝えようとしたんだ。


けれども、僕らは最初信じなかった。
それが、まさかこんな結果を招いてしまうなんて。


「知らないよ?彼女が・・・」



闇に堕ちて染まってしまっても・・・・



「文に書かれたことと、彼の言葉を信じるのならば・・・」




華が、闇堕ちしかけているかもしれない―――。


そして・・・今本丸から二振りの気配を感じないんだ。


「それは、一体」
「・・・・・・・・」




明石国行

にっかり青江


――――以上二振りだ。











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