華はうずうずと目の前の物に今にも飛びつきそうな様子で
それを見た三日月はくすりと笑みを零した。


「入らんのか?華」
「・・・っ入る!!」
「はっはっは、どれ俺も入るか」


華の発言に「虎徹?」と反応した裏初期刀。
「呼びましたか主様?」「我を呼んだか?」と
最初の「こ」しか合っていない刀も反応したが
華が求めているのは残念ながら違った。


寒さが強まりだし、そろそろ出そうかという話を聞いて
華はずっと心待ちにしていたのだ。
そう、寒い日に欠かせない暖を取るもの。


「いいかい華。亥の子の日に出すからね」
「うん!歌仙丸して!七曜表!」
「わかったよ、ふふ」


わくわくしながらそれの出てくる日を待ち
そしてついにその日がやってきたのだ。


「おこたー!!」
「それほどに好きか」
「うん!・・・ふわあ・・・ぬくぬく・・・」
「程よく温めてくれているな」


潜り込んで中からくぐもって声が聞こえてくる。
ひょこりと三日月の隣から頭が出てきて
それを愉快そうに三日月は笑って見せた。
ぽんぽんと頭を撫でてやれば嬉しそうに華も笑う。


「防火の願をかけてその日に出す」
「いのししさんの神様だよね」
「うむ。華は知っているのか。賢い奴よ」
「まりしてん、てお名前のだよ!」
「流石我が子」


ぎゅうと抱き寄せて頬を摺り寄せれば
華からもお返しと言わんばかりに
自ら顔を近づけてきた。


そういえば昔も、審神者が存命の際に
こうして炬燵を賑やかに過ごしたことがあるなと
三日月は遠い記憶を密かに呼び起こしていた。


「孫様ー!!どこに隠れられたのですかー!!!」

本丸中を皆で探し回り、にこにこと座る審神者
その目前の炬燵の中で丸くなる華と狐と虎五匹。

炬燵の周りには必ず誰かがいた。
喧嘩が起ろうとも、炬燵で静かに仲直りする。


まるで、審神者のようだ。


だからだろう、華が炬燵が好きなのは。
口には出さないし、本当にそうなのかはわからないが。


「とと様!おみかん!」
「・・・ん、美味いなあ」
「あむ・・・・っしゅっぱい!」
「おや?俺のは甘かったぞ」
「うーー・・・もういっこ!あーんして!」
「おお、また口に入れてくれるか。あーん」
「あむ・・・・っなんで華のすっぱいの?!」
「はっはっは、おかしいなあ」


二人の笑い声につられて「楽しそうだなぁ!」
「主様の賑やかなお声が聞こえました」と
優しさに包まれる炬燵部屋が、少しずつ賑やかになる

そんな魔法がかかっているんだと、華は思った。










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