所変わりまして、此方は出入り禁止状態の厨。


「歌仙君が戻った所で、再開といきたいんだけど」
「けえき、とやらの作り方か」
「うん、一応蓮華さんに先程作り方の紙を貰ったんだけど」
「かすていらと同じようなもんじゃろ?」
「いや、初めて作るんだ。けれど失敗は出来ない・・・」
「燭台切、僕も協力する。皆で華の為にけえきを作ろうじゃないか」
「そうだね・・・うん、やろう!」
「光忠・・・卵だ」
「ありがとう伽羅ちゃん!」


―――――・・・・・。


華偵察サイド


「華、相変わらず教えてくれないねえ」
「髭切が聞いても駄目だったか・・・」
「何故・・・主様・・・・」
「おい、あれは・・・・」



「子らが賑やかだが、何かあるのか?」
「あ!てて様。んとね、現世の行事の御話をしたの!」
「ほう、どのような行事か父に申してみよ」
「赤い着物に、白い髪の毛の人がね、となかいって動物といっしょに―――」


「父上によって思わぬ情報の収穫が出来ているぞ」
「白い髪・・」
「・・・何故皆俺を見てるんだ?」


「それで、枕元に贈物を配る人間がいるのだな」
「うん!さんたさんていうの」
「三田・・・華はその者から欲しい物はあるのか?」
「てて様は?」
「父は華の欲しい物が知りたい」
「・・・あう」
「華、ててには何でも申せ。」
「・・・・っ」


華が欲しいのはね――――



「こそこそと隠れて伺えないとは、まだまだ子供よな」
「父上・・・気づいて声をかけてくれたのか」
「子の事は、父には御見通しぞ」
「して、華は何を・・・」
「・・・・三田を困らせるからと、言い渋っていたようでな」


愛し子の望む物は


この本丸の日常。我等と暮らせる日々。
充分に今幸せ故、物が欲しい皆に
自分の分を分けてほしいそうな。


「優しいを越えて、父は些か心配ぞ・・」
「・・・・・・・」
「・・・・華様・・・」
「それと、三田以外に口外すると贈物がもらえないそうな」
「なんだそれは・・・どんな呪いなんだ!驚いたぜ!!」
「・・・・」
「髭切、どうした?」
「・・・・紙に書いてもらえば、いいのかなあ?」
「!!!それだ・・・!!!!!」



――――――・・・・。

「いいかお嬢、この紙は術のかかった紙なんだ」
「そうなの?」
「ああ!平安時代の儀式に用いられた紙でな」


この紙に欲しい物を書いて、三田に見てもらおう。


「そうすれば、口に出さないしもらえない心配はない!」
「!・・・」
「(華の目が輝いている!)」
「(主様が喜んでおられる・・・主様が―――)」
「ここにいる奴らで書くぞ!見合いっこなしな!!」


黙々と皆背を向けたり手で壁をつくり紙に書いていく。
華はうーんと悩んで何かを思いついたように
こっそりと紙に書き始めた。


「全員書いたら折りたたんで袋に入れてくれ」
「粟田口の分は、自分が預かります。皆持っておいで」
「ほんなら、自分が代表に渡すさかいに、ほれ蛍丸、国俊」

「お小夜、私が預かりますね、宗三も」
「そうですね、お願いしますよ兄上。ほら、僕も渡しましたよ小夜、さあ兄様に紙を」

「華、俺が預かろう」
「う、うん・・・」
「どうした?」
「・・・さんたさん、本丸わかるかな?」
「芍薬に紙の送り先を聞いてある。問題はない」
「そっか・・・えへへ」


―――――厨サイド



「(貞ちゃんがまさか入り込むなんて・・・ばれないようにしないと)」
「みっちゃん!これ混ぜるのか?」
「そうだよ、しっかり混ぜてね」
「歌仙の創作料理は秘密主義なんだな!わくわくするぜ!」
「(燭台切・・・・)」
「(ごめんよ・・・言い訳が咄嗟に思いつかなかったんだ)」
「わくわくするね!」
「そうだね華ちゃん!・・・・・・え?」


にこにこと貞宗と共にボールの中身を混ぜている華に
光忠は暫く思考が働かなかった。
どうやって此処に入り込んだ?いや主なのだから入れて当たり前だ。


「・・・・・光忠・・・」
「(ああ・・・入れてしまったんだね伽羅ちゃん)」
「甘い匂いがするねえ!」
「(燭台切、くりすますの飾りだけを二人がいなくなったら乗せればいい)」
「(そうだね・・・あくまで創作菓子作りだ!)」
「華ちゃん、苺のへたを取ってくれるかな?」
「うん!お手伝いする!!」
「伽羅ちゃん一緒にお願いするね」
「・・・・ああ」


―――――――・・・

「みっちゃあん・・・ちょっと疲れたぞ混ぜるの」
「オーケー、代わるよ」
「本丸もいっぱいなったもんね!」
「そうだね、大所帯だ」
「家族いっぱいうれしいな!」
「ふふ・・・そうだね華。」
「苺美味しそうだね!」
「・・・食えよ」
「あむ・・・っ!・・・はらひゃ・・・ふまみふいはへ!」
「・・・・・っくく・・!」
「(ツボにはいったな)」
「(自爆したね伽羅ちゃん)」
「(行儀が悪いけど、可愛いから許そう・・・)」



―――――・・・・

「あとは焼くのに時間がかかるから、華ちゃんと貞ちゃんは遊んでおいで」
「有難う、手伝ってくれて」
「いいよ!楽しみ!」
「だな!んじゃいこうぜ華!」
「うん!またお手伝い呼んでね!!」
「わかったよ。いっておいで」
「廊下は走っちゃ駄目だからね、雅に歩くんだよ」
「「はあい!!」」










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