本丸の景趣は冬景色。
障子を開けて庭を見やれば
降り積もった雪で綺麗に白くなっていた。
それを目を輝かせて眺めている華は
寝起き姿そのままに庭に下りて雪を下駄で踏みしめた。


「ひゃう!?」

あまりの冷たさに声が出てしまったが
華は楽しさが勝りそのままサクサクと足跡をつける。
声を聞きつけたらしいある刀剣男士が足早に此方に近づくのもしらず
夢中で華はぴょんぴょんと足跡をつけていた。


「ま・・・・ま・・・・孫様あああああああああ!???」




「って、本丸中に長谷部の声が響いてたな」
「仕方がないだろう!起こしにいこうとすれば悲鳴が聞こえ!!」


あろうことか裸足のまま下駄をはき着替えもせず薄着のまま
上着も羽織らずに庭に出ておられたのだぞ!?
風邪を召されたら?雪に隠れた小石で怪我でもしたら!?


「それはこの狐も同意です。過去に狐が同じ状況に出くわせば・・・」
「ま、狐の旦那も長谷部も、流石に今同じようなことを華がやると思うか?」


苦笑しながら薬研は蔵から火鉢を持ち出し運びながら庭を見た。
動きの止まった薬研に長谷部と小狐丸は何事かと視線を辿る。


「きゃー!つめたぁい!!」


「主様!!!?そのように薄着でッ!!!!!」
「華様あああああああああああ!!?」
「・・・くくッ・・・変わらねえのなあ」


一目散に駆けだした二振りを薬研は火鉢を運びながら見送った。



―――――・・・・。


「ぎねー!もっとたかくして!」
「もっとぉ?」
「うん!たろうもじろちゃんも入れるくらいにするの!」
「そりゃあかなりでかいのにしないといけないな・・・・」
「とんぼ!雪もっと!」
「もう暫しお待ち下さい、今かき集めています」
「かまくらなんて、奥州で見たきりだなあ。懐かしいような」
「光坊、伽羅坊も懐かしいだろう?」
「・・・・・ああ。悪くない・・・・」
「貞坊はどうした?」
「ああ、ふふ・・皆で雪合戦をするんだって、雪玉を作っているよ」


―――――・・・

「雪玉は相手軍に投げる!!ですよ!」
「・・・了解した・・」
「ボクに当てられると思ってるの?」
「雪合戦なんて、初めてです!楽しみだなあ!」
「薬研、手加減しねえからな!」
「おう、かかってこい厚」
「俺、華様の懐であったまりたいなあ」
「信濃ー、俺もお菓子もってそっちいきたいぞ」
「あ、厚兄さん・・・ぼくには向いてないかも・・・」
「心配すんなって!この後藤藤四郎がついてんだぜ五虎退!!」
「平野、今は敵同士です。」
「前田、容赦はしませんよ!」
「負けた軍に何奢らせよかぁ・・・くふふ」
「皆様、雪玉が出来たら狐めに声をかけてくださいませ!」
「・・・・一期・・・手加減無用・・・」
「はい、全力でいきますよ」
「ひっく・・なぁんで俺も雪合戦だぁ?」
「いいじゃねえか!一緒に派手に戦おうぜ!」
「おう!祭りだ祭りだああ!!!」
「ぼくもまけませんよ!」
「国俊・・・ほれ首巻せんと。蛍丸もや」
「はーい。・・・自分で巻けるよ国行・・・」


――――――――・・・・・


「はっはっは。賑やかだな」
「そうだね。皆、怪我をしないように遊ぶんだよ?」
「今剣!応援しておるぞ!がっはっは!」


縁側から庭の様子を眺める三条三振。
あちらこちらに飛ぶ雪玉は素早く目で追えない速さの物もある。
その中にどちらの軍にも属さない第三軍が乱入していた。
かまくらを作り終えたらしい華が駆けてくる。


「伊達男軍と槍の同盟軍参上だぁ!!いくぜぇお嬢!」
「うん!華もなげるー!!」
「かっこよく投げたいよねぇ!!」
「げっ!?みっちゃん敵かよお!!!そらよ!伽羅!!!」
「慣れ合うつもりは・・・っ!?・・ふん・・見え見えだ!」
「華様の為、本気でお相手仕る!」
「蜻蛉切ぃ!短刀らは早いから気をつけろー・・・ぶっ!?」
「・・・・どうして写しの俺まで・・・」
「きりくに!はい雪玉!」
「!・・・あ、ああ・・・」


昼餉の声がかかるまで、庭から楽しげな声は響き続けた。


―――――・・・・・。


「たろーこっちね!じろちゃんはとなりね!」
「・・・・私でも、入れるとは・・・」
「いいねえ!素敵なかまくらじゃないさ!此処で一杯いきたいねえ!」
「かせんー!こっちこっちー!」
「急かさないでおくれっ・・・ふふ」
「華、俺も失礼するよ」
「はちもかせんといっしょのとこね!」
「かまくらで茶か・・・悪くない。平野も早く来るといい」
「てて様は華といっしょね!」
「ふふ・・・愛い孫よな・・・」









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