「はい!出来たよっ!」
「有難う!・・・っ・・長、様」
「気をつけてよ清光。ここで名前は駄目」
「わかってる!でも安定見てこれ!長様に爪紅塗ってもらっちゃった!」
「うん、可愛いんじゃない」
「可愛いよ!きよ!」


えへへ、と嬉しそうに微笑む清光に
安定は苦笑しつつ、相棒と華の笑顔を見つめた。


「終わった?」
「乱ちゃんお待たせ!」
「んーん!御洒落はボクも気持ちわかるからね!」
「そんじゃ、行きますか」
「青江さん、本当に僕も行っていいの?」
「ああ、楽しんでくるといいよ。僕は此処で、太鼓鐘と髭切を見ておくから」
「俺も行きたいー!!」
「太鼓やね君は陣形の勉強だよ」
「太鼓鐘!!!明石みたいじゃねえか!!」
「ふふ・・・大きいねぇ、声のことだよ?」
「ああもう!面倒見てくれるのか見させる気かどっちだよ!!」
「さ、行っておいで・・・時間になったら迎えに来てくれ」


14:50


別行動開始


予定外の大和守安定が同行するが、問題無





―――――――――・・・・


「?・・・・」


乱と華は小物を見てはしゃいでいる。
和やかな雰囲気の中、ふと視線を感じ
清光は本体に手を添えて辺りを見回した。


「清光?・・・どうしたの」
「・・・今、何か・・嫌な気がした」
「え?・・・」
「!・・ッ誰!?あんた!!!」


すっと背を向けて走り去る男が持っていた物。


あれは・・まさか、刃物?


「安定!!華を頼む!!」
「清光ッ!!!待って!!演練の場所じゃないと僕らはッ――」


刀を抜くことが出来ない。
それがわからない筈はないだろうが
不審人物に注意が向いていた、気づいているだろうか。


「何・・・どうしたの?」


何かを察知し、華を護るように抱いて店から
出てきた乱は安定に問うた。


「不審者が、長様を狙ってたみたい・・・」
「ええ!?一人で追いかけたの!」
「・・・乱、皆のいる演練場に行ける?僕は清光を追うよ!」
「う、うん。任せて!気をつけてね!!」
「やす・・・きよをお願い!」
「まかせてよ!!」


安定が走り去り、辺りは何事かと騒然としている。
此処は政府の施設ではあるが、審神者も利用する買い物施設だ。
あまり長を悪目立ちさせたくはない。
乱は静かに華を連れて演練場へ向かうことにした。


エレベーターに乗り、華がボタンを押そうとした時だ。


「すみません!乗りますー!!」
「はぁい!」


開くを押して駆け込んできた男を乗せて、閉めた。
乱は黙って様子を見ていた。


一見して非力そうな優男だ。
だが、見た目で判断してはいけない。
本当に不審者がいたのか、そうであったのか
答えが出るまで警戒しない訳にはいかない。


「お、長様でしたか!!御迷惑をおかけいたしました!!」
「んーん!演練に来てる人??」
「は、はははい!!まだ新人ではありますがっ!!」


「近づかないで」


間に入り込み、男を睨み付ける。
困惑している様子の男。
華は少し下がり、様子を窺う。


「新入りさんが、どうして長だってわかるの?」
「・・・ど、どうしてって・・」
「総会は年に数回あるけど、長は普段顔を布で隠してる」


今は隠してない、一般の審神者と同じように。


顔を見たことあるのは、政府の人間で、

ごく一部の重役しかいないと思うんだけど?


「・・・・これは、予想外。乱藤四郎、頭は悪くないようだ」
「ッ・・・何を企んでるの?」
「企む?とんでもない・・・これは決まっていたことなんだよ」


ガタリとエレベーターが止まり、扉が開く。
華の手を引いて走れば、逃げられるか。


「っ・・痛ッ・・・!?」
「乱ちゃん!!?」


エレベーターが開き、見えたのは二人の男。
そのうちの一人が銃を構えていて、銃口から微かに煙が上がっている。


「安心してくれ、刀剣男士用の銃だ。政府内で万が一闇堕ちしたり暴れたりされれば困るからね。止めるための物は準備されているんだよ」
「乱ちゃん!!」
「に・・・げ、て・・長様!!!」
「逃げてもいいけど・・・折っちゃってもいいのかな?」


乱藤四郎も


加州清光も・・・


もう一人の男が乱雑に引き摺ってきたのは
ぐたりとして動かない清光の姿。


「やめ・・て・・・っ・・・みんなに、何もしないでっ!!」
「では、大人しく一緒に来てくれますか」
「・・・いっしょに・・行く・・」
「聞き分けが宜しくて助かります。流石は長様・・・」
「や、大和守安定は?」
「彼ですか、彼は心配いりませんよ。加州清光を捜して結界の中をまわっているだけです。時間がくれば効果は消えますから」
「・・・・・むぐっ!?」
「大丈夫です・・・痛いことはしません。暫し薬で、お休みを」


15:25・・・・


―――――暗転・・・。










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