時を少し、遡る。



――――・・・・・。


確かに、鶴丸と三日月の刃は。
女の首を斬り落とした。


しかし、女は死んではいなかった。


首がなくなっても、その体は揺れて審神者に近づこうとする。
鶴丸はあまりのことに動揺したのか、その場から動けない。


そんな中で、三日月は普段と変わりなく
ゆったりとした動きで女の体を、斬った。


審神者は見届けるように、目をそらさず見ていた。
禍々しい赤黒い光が消えていく。これで最後だと誰もが思った。


「ばっちゃ!!」
「!?・・・っ華、来ては―――」


一瞬のことだった。
華の声を聴いた途端に、ばらけた筈の女が姿を戻し
華の元へ飛びかかったのだ。
これでは三日月でも間に合わない。
長谷部も動こうとするが、腕が痺れて刀を握れない。


「華っ!!!?」
「お嬢ッッ!!!」


――――悪ィな、通させてもらうぜ・・・。


華の懐からぎらりと短刀が現れる。
それは女を確実に貫き動きを止めた。
「薬研!!」と華の後ろを追ってきた護衛部隊が叫ぶ。
倒れこむ華と、人型の薬研を燭台切と獅子王が寸での所で支えた。


ゆらり、と審神者が立ち上がる。
その手には、ある刀を握りしめて。


「・・・・眠りやれ」



刀一振り。そして女は飛散した。



―――――・・・・。


「・・・一兄ィ・・」


あれから幾日か過ぎても、起きない者がいた。


審神者は完全に床から出ることが出来なくなった。
そして、何かしらの影響を受けているのか
華が目を覚まさない。
長谷部に至っては未だ腕を不自由しているが、改善してはいるようだ。
そして、粟田口の短刀部隊はそれぞれどこかしらに包帯を巻いてはいるが
全員無事に生還し、今は目を覚まさない薬研の部屋に集まっていた。
一期は苦笑し、心配はないから休んでいろと皆に伝える。
けれども、皆は動こうとしなかった。


傷を負った審神者の屋敷は
暫くとても、静かだった。


――――そして、別れの時が、来る。











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