審神者の長になった者は、先ず鍛刀の儀を行う。

しかし、華に関してはすでに小狐丸が初期刀として
存在していた為に、儀は保留となり行うか協議されていたのだ。


そして今、華は儀を行うために衣を身に装い
鈴を手に舞を行っている。

小狐丸はその光景に見惚れて震えを感じていた。

あの幼い少女のどこからあれ程の清らかな霊力を溢れさせるのか。
政府の、空木と一部の者以外には知られていない
付喪神と人の間に産れし子であったとしてもだ。


最後の鈴の音が響き、舞を終えれば
華の前には一振の刀が浮かんでいた。

にこりと笑って華は名前を呟いた。



――――蜂須賀虎徹



金の装甲を纏い、薄紫の長髪を揺らし
地に足をつけた彼は、胸に手を当て一礼した。


「俺を呼んだのは、君かな・・?」
「審神者の長、華といいます。」
「それは、光栄だな。虎徹の真作に相応しい主だ」


よろしく頼むよ。


やり取りを見ていた小狐丸は、内心不安がない訳ではなかった。
この地位は、揺らぎはしないだろうけれども。

それでも、自分はこのまま初期刀の位置にいてもいいのだろうかと。


「小狐丸」
「・・・っ!はい」


政府に来ている故、いつもの「こまる」とは呼ばれない。
それさえもどこか寂しく、不安を掻き立てる。
華の前に立ち、言葉を待つ。

政府の者はこの舞台には上がれない。
故に今舞台の真ん中には自分と華、蜂須賀しかいない。

小声で華は二振りにしか聞こえないように・・・



「はちすか・・・こまるだよ。」


華の初期刀なの


その言葉に小狐丸は目を見開いて固まった。


「詳しいおはなしは、空木さんがしてくれるから」
「わかった。正直、残念な気持ちがない訳じゃない。けれど」


これから実力を上げて、隣に並べるようになればいいだけだ。
改めて、宜しく頼むよ。


そう言って微笑み、蜂須賀は空木の元へと歩いて行った。


「よ、よろしいのですか・・・主様?」


声も震えて、上手く話せたのか気になる。
不安からではない。嬉しさのあまりに体が震えていたのだ。


「ん?こまるは華の初期刀だよ」


いこう?


そう、手を差し出され


小狐丸は込み上げる涙を静め、手をとり歩き出した。



――――――――・・・・。

蜂須賀虎徹、遂に参上。
事情を聴いて納得するも

「鍛刀の儀」についてもしっかり確認した為
表向きは小狐丸に譲ったように見せているが
「特別」「儀で正式に鍛刀された初期刀」と
思う蜂須賀なのであります。

当然だよ、俺は虎徹の真作だからね。

表、小狐
裏、蜂須賀

密やかなる初期刀ポジション争いが
幕を開ける。









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