「うん・・・うん・・・」


部屋の外で正座をして政府との連絡が終わるのを待っている
小狐丸は、訪ねてきた一期に人差し指を口元にあてて
静かにするように伝えた。こくりと一期は頷いて隣に正座する。


「空木殿からのようなのですが・・・」
「神妙な顔をしておられる」
「わかった。やってみる」


連絡の取れる鏡を置いて、華はふうと息を一つ吐く。



「如何為さいました?」
「!・・いち兄ぃ・・・ごめんね待たせちゃった?」
「いいえ。政府からの連絡かい?」
「うん。・・・ちょうどお話があるの」
「自分にですか?」


信濃を助けた時のこと、覚えてる?


華の言葉に、小狐丸と一期は首を縦に振った。



「・・・空木さんのお話で、大阪城に敵が集まってるんだって」
「・・・大阪城・・・・」
「一期殿、如何されたのじゃ?」
「・・いえ、続けて下さい」
「祈祷場の鏡、本丸の改装して新しくなったの」


華の霊力を貯めておけば、時間は有限だけど
皆も一緒に入ることが出来るようになったんだって。

それで、華が夢に見た場所、しなのを助けたあの場所は


「大阪城の、牢だったみたい・・・」
「・・・・つまり」
「大阪城の牢屋に、敵さんがしなのみたいに刀を閉じ込めてるらしいの」
「・・・・実は、自分も夢に見たのです」
「!・・夢・・・」


助けを求める声、伸ばされた手。
炎に包まれる大阪城。

これは偶然ではない筈だ。


一期は深々と頭を下げて、華は驚いて目を丸くしていた。
小狐丸も様子を窺っている。


「どうか、この一期一振を・・・出陣させて下さい」
「いち兄ぃ」
「弟達が、救いを求める声を聞いて、動かずにはいられません」
「ん。いっしょにいけるのだれか確認するからまってね」
「この狐が動きましょう。暫しお待ちを」


スッと立ち上がり、素早く小狐丸はその場を去った。
不安は拭えていないが、一期は許可を得たことに安堵して笑みを見せていた。









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