「これで同点じゃのう!!まっはっは!」
「ッ・・・と、まあ、こうして行うのが将棋だ。わかったかお前さん?」
「うん!楽しそうだね!でも・・難しそう・・」


縁側で将棋をする陸奥守と長曽祢を見つけ
華はちょこんと様子を興味深げに眺めていた。
将棋は皆がしているのを横目に見たことがある程度で
自分はやったことがない。長曽祢と陸奥守の戦いは

「難しそう」という答えが頭に浮かんだくらいだ。

この二振りが此処まで和解出来たのも、華のおかげだ。
とある任務に出ていた際に抜刀沙汰になりそうなほどに
揉めていたのだと、一緒にいった今剣と清光が話してきたのだ。
喧嘩をするなと言った訳ではない。ただ、お互いに元の主への
想いがあるのも、考えがあるのも理解できる。


「俺以下になってんじゃねぇぞぉ・・・ひっく!」


不動がじと目で本丸に戻っても険悪な二人に一言はなったのも効いたようだ。
彼もあることで問題を起こして、それを言っているのだろうと。

長曽祢も陸奥守も、冷静な状態であれば話は出来る。
少しずつ、時間をかけて互いのことを理解しあったのだ。


「華ね!陣取りは知ってるよ!」
「陣取り?」
「うん!持ってくる!」


―――――・・・・。

華が持ってきたのは、玩具などではなく
軍議にも使用できる地図の紙と、凸の形をした駒だ。
それを置いて、にこにこと説明しだす。

霊力で指示を出して動かすといったもので
口に出して進ませてもいいし、自身の脳内で指令を出して
進軍、後退させることも可能らしい。


「ほいたら、わしが相手ぜよ!」
「なら、お前さんはこっちだ」
「重くない?」
「もっと飯を食え、軽いぞ」


胡坐をかいた長曽祢の間にすっぽりと
座らされて、華は陸奥守と陣取りゲームを開始した。

普段自分たちが出陣しているときのように陣形を組んで
駒は進んでいく。陸奥守の本陣は森の傍にあった。
反対に、華の本陣は丘の上だ。


「このままいくぜよ!!本陣まで!」
「・・・・」
「(・・静かだな・・一見して陸奥守が押しているように見えるが)」
「むつ、本陣もらうね」
「へ・・・むあ!?」


地図の上では陸奥守の駒と華の駒は複数交戦していた。
陸奥守の駒は六つ、華の駒は五つだ。

残りの一つは・・陸奥守の本陣横の森から現れた。
本陣に駒を置いていない陸奥守は唸っている。


「鶴翼の陣でむつの駒をおむかえして、入ってきたら後ろに一つ駒をまわしてつつんじゃったの」
「(陸奥守の陣は魚麟・・突進してきたのを一つの部隊は本陣へ、もう一つは迂回させて敵の背後に回したのか・・)」


   凸
  凸▲凸
   凸

(こんなかんじ)

「攻撃に夢中になりすぎたちや・・」
「完全に袋の鼠だな」
「むあー・・・悔しいぜよ!」
「もっかいやろ!」
「おん!次は勝つぜよ!」
「次も、主の勝ちだな」
「言うたな長曽祢!」


長曽祢の間にすっぽり収まったままで
華は陸奥守と陣取りを暫く続けたが
結果は変わらず、ぐったりと倒れ込むまで続いた。

―――――・・・・
おまけ


「この駒をね、こうしてね」
「なるほど・・しかしこうしたら敵に隙をつかれるんじゃないか?」
「んーん、ここに隠しておくの。短刀部隊なら出来ると思うよ」


「見ろ、三日月・・あの父親のような風格を」
「俺もああして華を抱くことはあるぞ・・・」
「違う、それだけじゃない。あの空気だ、空気を作り出すんだ・・」
「空気か・・成程・・・鶴よ、どうすれば」
「(ものすごく視線を感じる・・・)」


―――――・・・。
あとがき

胡坐の間にすっぽりさせてあの肌蹴た
胸板にごろんと凭れかからせたかった。
傍から見れば犯罪レベルな・・・←








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