「国俊・・すまんけど水入れてくれへん?」
「仕方ねぇなあ!」


井戸のポンプに愛染は水をいれて、明石は左手で扱ぎ始める。
右肩にはまだ包帯が巻かれていて痛々しい。
それでも傷は癒えてきている。しかし不便には違いない。


「国行ー、水出たよー」
「ほんなら、盥と板やな」
「あかしー!きたよー!!」
「!・・・ひいさん。盥持ってきてくれはったん?おおきに」
「華!準備万端だな!」
「うん!華もお手伝いするよー!」
「俺と踏み踏みしよー」
「やる!蛍といっしょ!」
「ずりぃ!俺もやるー!!」
「はいはい、三人やってええさかいに、準備」


本日は晴天、洗濯物は良く乾くだろう。
華は水しぶきを上げて飛び跳ねて踏んでいる。
愛染と蛍丸も同じように踏んでいて、
それを遠くから微笑ましげに見てくる男士もいた。

あの一件から、暫く明石は怪我を治すことに専念していたのもあり
あまり動いてはいなかったが、事が事だった故に
長谷部や何人かに見張られることもあった。

それでも回復した華のまさに鶴の一声で
彼にも内番や仲間との仕事を与えられるようになった。
本日は来派による洗濯当番である。


「ッ・・・!」
「あかし・・・ぽんぽん出来なくてごめんね?」
「何言うてはりますのん?蛍と愛染を刀解されんですんだ。それでええんです」
「もお、国行の馬鹿。自分の心配しなよ」
「そうだぜ!ばぁか!!」
「・・・馬鹿はやめてほしいわぁ・・アホて言うて」
「意味わかんねぇ!ほら!華!!泡ついてるぞ!」
「えへへー!あわあわー!!」


ふう、と息を吹きかければ大きな泡が浮かぶ。
「おおーっ!」と二人は浮かぶ泡を見つめ
明石は溜息を吐きつつ微笑ましげに三人を見ていた。


――――――・・・・


「干せたー」
「つかれたー・・・」
「おつかれさん」
「かせんがお茶くれたよー!」
「おお!黄粉団子!!」
「いただきまぁす!」


縁側から風に揺れる洗濯物を眺め
明石はごろりと寝転がり、愛染と蛍、華は団子を頬張る。


「華偉かったなぁ!」


ぽふぽふと頭を撫でられて、愛染もにかりと笑顔を見せた。
愛染のこの笑顔が華は好きだ。見ていて自分も元気になれる。


「ほい、きなこついてる」
「んむ・・ありがとう蛍!」
「えへへー、どういたしまして。俺の分もあげるよ」
「え?いいよ!蛍たべていいよ!」
「いいから、はい、あーん」
「あーん!」
「華は可愛いよねぇほんと」



口の端についたきなこを指でとった蛍はそのままぺろりと舐めとる。
「ん、おいしい」とご満悦だ。華と共に笑う蛍丸は格別だと
寝転がりながらもちゃっかりと様子をみている明石。


「きもちぃねぇ」
「眠くなってくるなぁ」
「乾くまで時間あるさかいに、昼寝でもしますか」
「えー・・おこられねぇ?」
「やることやったんやから、ええんちゃいます?」


部屋に上がり、寝る準備を始めた明石に愛染はやれやれと
自分も枕を取りに中へ入った。


「寝る?華、まだ熱治ってそんなたってないんだから」
「大丈夫って皆に言ってるんだけどねぇ」
「心配は終わらないよ。鶴丸とかすごかったじゃない」
「華のお部屋の障子に鈴つけちゃったもんねえ」
「そうそう、開けたら鳴るようにね」
「でも、みんなに言わないで勝手しちゃったから、仕方ないよね・・・」
「それでも、華が国俊と一緒に行ってくれたから、国行が生きてるんだ」


有難う・・・華。


ぎゅうと華を抱いて、蛍丸はそのままころりと寝転ぶ。
必然的に華も寝てしまうことになるのだが、蛍丸の体温が心地いい。
先程はしゃぎ過ぎたのもあるのか、うとうとと眠気を感じて。
華と蛍丸はすやすやと夢の中へ誘われていった。



――――――――・・・おまけ


「明石殿・・・先程昼寝の際に撮影された写真を譲って頂きたい」
「一期はん・・あれは秘蔵の一枚や。譲れまへん。蛍とひいさんの寝顔やさかいに」
「焼き増しということが出来るんだろう?俺にもくれ」
「あきません。大事な娘の写真や」
「明石よ・・・俺の娘だ。・・・そして写真を―――」
「あげへん」



―――――・・・
後書き

甘やかしになってないかもですが
来派でお洗濯が書けて楽しかったです。
きなこ何気にペロリしたり蛍丸優先で頑張りました。
カメラは空木から本丸に贈られました。
後に焼き増ししたのかは、明石しか知りません。














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