審神者の儀を終えた日の夜。
三振の刀が華の部屋に集まっていた。



薄明りの中、それぞれの前に置かれた刀。


儀式の前に腰にさげられていた刀と違う。
それは今まで自分達が振るってきた


「太刀」ではない。


目の前に置かれているのは確かに自分の本体だ。

けれども、それは・・・・



「どうしてなのか、教えて貰えなかった・・・」


困ったような、悲しそうなような。
華は三振の前で俯いていて。


「儀式が終わったら、変わってた・・・」


シャン!!と鈴の音が鳴り舞い踊る華の後ろで


違和感を感じていた・・・。



和泉守兼定


大倶利伽羅


同田貫正国


彼らの太刀が、打刀になっていたのだ。



「・・・兼さん?」


儀式の最中に小声で不思議そうに見つめてきた堀川に
和泉守は言葉を返すこともなく、



「・・・・倶利伽羅?」
「(・・・雰囲気が、違うな。伽羅坊?)」
「・・・・・・」


横目で何かを感じ取った鶴丸の視線も
不安そうな光忠の声も、耳に入らずに目を細めるだけ。



「たぬ?・・・なんか・・・ちっさくなったか?」
「うるせぇよ・・・」


御手杵が珍しく神妙な顔をしていたのに驚きつつ
その後に握りしめて、「抜刀」の合図で確信したこと。



政府の者に空木が聞いてくれたようだが
原因は知らぬ存ぜぬ、これである。
華の霊力の関係なのか、何がどうしてこうなったのか


答えは出そうにない。


それでも、気にしてくれている新しい主に
三振は視線を向けた。


「ほら!顔上げろよ華!」
「・・・どうでもいいな」
「そうそう、闘えるんだったら何だっていい」
「あう・・・」
「気にすんなよ、刀が変わったからって俺達が変わったわけじゃねえし」


夜も遅い、華も疲れたろう。
納得していなさそうだったが、話は御開きとなった。


―――――・・・・。


「兼さん!」
「・・・おー・・・って、何だよお前ら」
「あれー、思ってたより元気そうじゃーん」
「ほんとだね」
「兼さん、今日からボクと相部屋だよ!」
「あ?お前国広兄弟と一緒だったろ」
「いいからいいから!」
「あ、でも今日はしょーがないから僕らといっしょにねるんだからね」
「そうそう、新撰組全員で寝るんだよ」
「な、何でんなことに」
「和泉守、黙ってついてこい」
「長曽祢ぇ・・・」


ったく、・・・へえへえ。どうだ国広!漢前があがったろ?

うんうん!兼さんかっこいいよ!!



―――――・・・・


「・・・・おい」
「おいじゃないでしょ。何してるんだい」
「・・・刀種が変わったんだ。部屋を・・・」
「移らなくていいからね?刀種が変わったからって」
「・・・光忠・・・」
「勝手に使うんでしょ?最初に言ったじゃないか」


これからも、この部屋は僕と君の部屋だよ。
あ、貞ちゃんが来たら貞ちゃんも一緒にね!


「・・・・・ふん。」


・・・・・好きにしろ。


うん!じゃあその荷物は戻そうね。
明日お赤飯にしようか?


おい・・・太刀が打刀になったんだぞ・・・


でも新しい君になったんだからお祝いじゃないかい?


祝いなら驚きが必要だろう!!!


鶴さん、今夜だから、静かにね


・・・・・・ふっ・・・。



――――――・・・・。


「おー。まあ、たまには飲んだらどうだ?」
「・・・珍しいじゃねえか、酒なんて」
「玉には俺だって飲むさ」
「自分も、御一緒致します」
「ほんとに珍しいな」
「蜻蛉切、お前もか!!」
「たまには・・・」


まったく・・・、こいつらは・・・





太刀から、打刀に変わった日・・・・。




―――――――――――・・・・・。
後書き

突然だったんだよね。仕事から帰ったら
公式から変更のお知らせ出てて( ゚д゚)ポカーンて。
一軍の太刀であった兼さんが打刀になったんだよ・・。

それを忘れない&後続の審神者さんにも
昔は彼らも太刀だったんだよとぼそりと
知っててもらいたいと思って書きました。







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