今華の前には小さいが見覚えのある子が三人。


「どうだ華!驚いたぞ!」
「・・・こんな姿なんて・・何だる無様な・・」
「・・・・どうでもいいな」


身長は華より少し高いがそれでも普段よりかなり幼い彼ら。
華は物凄く嬉しそうに笑顔になり、三人に飛びついた。


「わっ!?華ちゃん?」
「かわいいー!!」
「ッ・・・おい・・・落ち着け・・」
「からちゃんかわいい!華といっしょ!」
「ッ・・・!」
「おじょう、俺にもぎゅうしてくれないのか?」
「おつるよしよし!」
「!・・なでなでか・・・悪くないな・・」


どうして小さくなったのかはわからない。
けれども今は華がとても嬉しそうなので
三振はまあ、いいかと現実逃避を始めたのであった。


―――――――


「今日の買い物当番は大倶利伽羅なんだが・・・」


困ったようにこれから遠征に行く仕度のすんだ長谷部が見下ろす。
本丸の中に残っている男士は限られるし、皆仕事がある。


「問題ない。」
「いや・・・しかし」
「華が行く!!!はせべ!」
「!?・・・主、しかし!」
「はせべ・・・」
「うッ・・・!?」
「・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・ッごほん!華様、しかしですね」
「いけるもん!華大丈夫だもん!」
「おれもついていくから心配いらんさ」
「ぼくも行くよ。三振いるんだ。こんな姿でも大丈夫でしょ」
「・・・わかった。くれぐれも気をつけてな」
「はあい!皆行くよ!華とお手てつないでね!」


何やらいつもよりしっかりしている気がする。
自分たちが小さくなったことが影響しているようだ。
どこか面倒をみる姉のようなその振る舞いに
鶴丸は苦笑しつつ手を繋いで万屋についていくことにした。


―――――――――――

ありがとうございました!!!


「んしょっ!」
「・・・おい、何をしている」
「華が全部持つよ!」
「俺が持つ・・・(どうみても持てないだろう)」
「平気だよ!がんばるもん!」


どう見ても華では本丸までの距離を運ぶのは厳しい荷物だ。
大倶利伽羅は溜息を吐いてどうしたものかと思案した。
その横を鶴丸がするりと通り、にかりと笑顔を見せる。


「おじょう!その大きな袋を貸してくれ」
「おつる?」
「何が入っているのか見てみたくなった!だめかい?」
「!・・・わかった!特別ね!」
「嬉しいぜおじょう!中身は何かねぇ」
「(鶴さん・・・さりげなくそのまま持つつもりだ・・・)」
「(・・・国永)」
「華ちゃん・・僕、そのお野菜の入った袋が欲しいな」
「みつ、欲しいの?」
「うん・・・いつもご飯作ってるから、欲しくなっちゃったなぁ」


困った顔で、華を見つめる。
今の華は保護者目線で自分たちを見ている筈。
ならば鶴丸のように、「貸してほしい」「〜がほしい」と
子供っぽく言えばきっと渡してくれると考えたのだ。
それにすぐに気づいた鶴丸は流石だと二振は思う。


「わかった!じゃあお野菜特別にあげるね!」
「ありがとう!嬉しいよ」


ほら、「特別」が出た。


思惑通りだ。あとは大倶利伽羅がもう一袋奪ってしまえば
華は自然と一番小さく軽い袋だけになる。


「・・・・おい」
「なあにからちゃん?」
「・・・・・・・・・・・」


着物の裾をつかみ、小声で俯き大倶利伽羅は呟く。


「あいつらばかり・・・ずるい・・・」
「!!・・・ッからちゃん」


無自覚なのか、計算されているのか

その言葉は果たしてどういう心意か


「ふふっ!いいよ、特別ね!」
「・・・・ふん」


ぽんぽんと頭を撫でられて袋を手渡された。
それを受け取り、皆で帰路につく。


小さくなった原因は調査中とのことであるが
数日後、三振は元の姿に無事に戻れたのであった。









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