「・・・来てしまったか」
「婆様?」
「長谷部や・・・」
「はっ・・・お呼びでしょうか」
「・・・すまないが、中央の脇差部隊を太刀部隊と合流するように伝令を」
「成してみせます。暫し、持ち場を離れますが」
「構わない。私の頼みだから」
「では・・・この場はお任せします」


一礼し駆けていく長谷部の背を見送る。
起きているのも辛いはずの審神者に
鶴丸は僅かに眉を顰めた。


―――――・・・・。


「随分と盛大な出迎えだのう!!」
「岩融!だいじょうぶですか?!」
「なんの!これしきどうということはないわ!!」
「今剣、中の部隊に伝令にいってきて」
「蛍丸もきをつけてくださいね」


政府の貼る結界を退けて侵入する等。
一体何が起こっているのだろうか。
とにかく今は中で護衛をしている皆に
危険を知らせなければいけない。


「燭台切!!敵襲です!!」
「なんだって・・!」
「数はまだ正確には・・・目視で三十程!」
「孫様の安全を確保だ、今回は護衛の任務。こちらからは仕掛けない」
「わかりました。今外で二人が応戦してます」
「わかったかい、孫様。危ねぇから傍離れるんじゃねえぜ?」
「・・・・っあぶない」
「そうだよ。わかって―――」
「ちがう・・・ちがうの。」


ばっちゃが、あぶない―――


孫様の言葉に、一同は固まってしまった。
今なんといったのか。審神者の身が危険だと?
何故この場にいるのにわかるのか。
疑問は色々と浮かぶが、しかし。


「報告!護衛隊の半数が敵側にっ」
「何だと!どういうことだ!!」
「お、おそらく化けていたものかと!!」


なんということだ。信用していた政府の護衛が
まさかの敵であったなんて。しかも半数とは。


何が起こっている?どうしてこんなことに。


「こりゃ、かえって此処の方が危険かもな」
「確かに。しかしどこに逃げるか・・」
「かえろ!!おやしき!!!」
「孫様?」
「気を付けて!!破られるよ!!」


蛍丸の声に一同が視線をやる。
各自それぞれ刀をぬいて、構える。


「おやしき・・・かえるの!!」


華が傍にあった結界の媒体に手を翳す。
すると、薄い靄のかかった鳥居の門が現れた。
先は見えない。しかし不思議と恐怖は感じられない。


「皆!退け!!数が多すぎる!!」
「くそ・・・っ仕方がないか・・・大倶利伽羅!!」
「・・・わかってる」


華を腕に抱き、皆で一か八か。
鳥居をくぐれば、それはその場から霧のように溶けてきた。












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