「それ・・便利だな・・華」
「ん、でも・・・ずっと使えないからね」
「わかった。苦しくなったらちゃんと言えよなっ」


華の御守の力で敵から姿を隠し、
静かに二人は橋を渡っていた。
愛染におぶられながら、華は周りを確認する。
京都の街は、敵の力なのか少し息苦しい感じがする。


「教えて・・あいちゃん・・・誰を止めたいの?」
「・・・・俺と、蛍の自称保護者・・・」


俺達来派には、もう一振いる。
太刀で、名前を―――


「しっ・・・」
「!・・・・・」


敵の打刀がすれ違う。結界の力で気づいてはいない。
遠ざかるのを確認し、愛染はまた足を進めた。


「・・・・手入れ部屋にいる間、ずっと夢に出てきたんだ」
「夢?」



鮮明で、起きても夢じゃないと思ったくらいだ。
あいつは、敵と一緒に歴史を変えようとしている。
そんなことの為に、どうやってか知らないが顕現して
人の身を得てふらふらしてやがったのかと

一発殴るどころじゃおさまらない。


「いた・・っ」
「・・・(刀剣の、気?)」


橋を渡り終えた先、敵の姿の中に見えたのは、紫。
何かを指示されるような素振りを見せて、敵は姿を消した。
立ち去ろうとするその紫を、唇を噛みしめていた愛染が華下して息を吸う。



「何、やってんだ国行!!!!」


驚いた様子で振り返った紫の名は―――


「あかし・・・くにゆき?」
「・・愛染・・・」



何してますのん?自分・・・


「は?・・何じゃねえよ!!お前が何してんだ!!!」
「関係ないやろ、大人しぃしとき。自分面倒みぃひんで」
「ふざけんな!!ずっと夢に出てきやがって・・何なんだよ!!」
「知りませんわそんなもん」


冷ややかな目で愛染を一瞥し、視線は華に向いた。


「自分、ひょっとして審神者?」
「・・・うん。あいちゃんの本丸の審神者だよ」
「そうですか。それは・・・ちょうどええですわ」


柄に右手を添えて、一気に間合いを詰めてくる。
愛染は驚きつつも華の前に飛びだし、明石の刃を受け止めた。
舌打ちし明石は一度後ろに飛び退く。


「邪魔しな、愛染」
「ほんッッとに何してんだよ!!!殺す気か!!!」
「そうや」



即答で返された言葉に、愛染は耳を疑った。
今何といった、聞き間違えじゃないのか?


「ちょうどええて言いましたやん。自分の目的はその審神者」


殺してしまえば、目的は果たされるんですわ。
愛染の為にもなるんやで?そやから邪魔せんとどいとり。


「ふざ・・・っけんな!!?」
「真面目やで?」
「何でだよ・・・何で!!!!」


ああもう、ごちゃごちゃやかましいなほんまに自分は・・・


人の気もしらんと・・・。











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