本丸の皆様へ

拝啓―――




・・・・と致しまして、

幼審神者様から皆様への贈り物を御用意致しました。
これからも長様を宜しくお願い致します。


      空木 拝




「主様、これは、いったい?」
「うふふー!」


にこにこと笑顔で、少し照れくさそうにもしている華に
渡された文を読んだ小狐丸はこてんと小首を傾げて見せた。

我々への贈り物、とな??
はて、主様への贈りたい物は山ほどあれど、
此方が貰う理由が検討もつきませぬが・・・・。


「みんなをお外に呼んで!行こうこまる!!」
「は、はい・・・御意に・・っ」



―――――・・・・。


何事かと集まった男士らは、本丸の外にいた。


「いいよ!っていったら門を開けてね!」
「畏まりました」
「お嬢、どんな驚きを見せてくれるんだ?」
「ふふ、待っててね!」


本丸に戻った華の声を待ち、皆そわそわしている。
鶴丸は目を輝かせて今か今かと子供の様ではしゃぎ
光忠と大倶利伽羅、貞宗はそれを宥めている。


「何だろうね?」
「俺達に贈物って・・」
「外に出ないといけないのも不思議だ・・」


いいよー!!!


―――門が開く。


「本丸が・・・・」
「前より、おっきくなってるよ清光」
「広くなってる・・・・」


―――新しい畑を見つけた男士組


「あ、あれは・・・何でしょうか?」


恐る恐る指さす五虎退に一期が反応する。
何やら鉄らしきものだ。その傍には青く長いものがある。


「皆、私が危険がないか調べるから、触らないように」
「い、いち兄・・・っ」
「いや・・いち兄それは蛇ぐ―――」


薬研が覗き込み何か気づき声を発したが、
それはきゅっという音とほぼ同時で

大量の水が流れ出し、一期は驚き距離を取りつつ柄に手をかける。


「な・・・っこれは・・・面妖な罠か!!」
「いち兄、聞いてくれ・・・さっき触ったのは蛇口だ」
「じゃ・・ぐち?」


それを知らない男士らは興味深げに見つめている。


「水を捻るだけで出したり止めたりできるんだ」
「何と・・・そのような絡繰りなのかい」
「ああ、畑の傍にある。なら水を撒くのにちょうどいいな」



―――厨組


ドキドキドキドキ・・・・


きゅっ!


ジャバアアアアア!!!


「!???」
「成程、水の出る絡繰りか」


ポンプ式の水道も残っているが、その隣に蛇口式の水道が出来ている。
厨も前より広くなり、食材の保管庫もゆとりが出来ていた。
冷蔵庫は審神者の頃に置かれていたので皆知っているが
その冷蔵庫も大きくなっている。


「これは・・・釜戸かな?」
「石窯だね。焼き物を作るのによさそうだ」
「雅だ」


――――各自の部屋


「わあ!!広くなってる!家具はそのままですけど!」
「・・・広い」
「新築のようだね骨喰!」
「・・・ああ」


「大所帯の俺達兄弟の部屋も広いぜ!!」
「本当だ!嬉しいなぁ!あ、三面鏡だ!!わあい!」
「着物が沢山入りますね前田」
「ええ、これで収納はばっちりです!」



―――手入れ部屋等


「ここも、部屋が二部屋増えていますね」
「祈祷場も広くなってるから、一度にお仲間じゃんじゃん呼べちゃうね兄貴!」
「・・・神聖な空気だ・・・」



―――――・・・・。



「華や」
「どうだ!驚いたか!・・・っえへへー!」
「驚いたってもんじゃないぜお嬢!皆喜んでる」
「んとね、空木さんに言われたの」


長になった祝いの品を何も渡せていなかったから
何でも欲しいものを言って欲しいって。

だからね、華は皆が過ごす本丸を皆が喜ぶようにしてほしいっていったの。


華の言葉に三日月らの目が丸くなる。
この子は、自分が欲しいものを言わずに我々の
為に頼んだと言うのか。


「何かないのですか、主様の欲しいものは」
「ん?だからね、みんなが喜んでくれたら華はそれでいいの!」
「・・・なんてこった・・・お嬢」
「華・・・」


ぎゅうとその小さな体を抱きしめると、
華は嬉しそうに三日月を抱き返してきた。


「感謝するぞ。父に詳しく案内してくれないか?」
「!・・・うん、あのねっ」





――――――
あとがき―説明―

本丸の事情。

水に関してはポンプ式の井戸、厨もポンプ式。
これを蛇口の水道プラスした。

トトロのサツキ家台所にあったアレ。
あんなかんじの厨。そこにパイとか作れる石釜を追加。
食糧庫を増設。いちいち蔵に取りに行かなくてよくなった。


冷蔵庫は電気つかったやつじゃない謎技術冷蔵庫。
審神者が男士の食事を気遣って準備したものを大型に変更した。


本丸内の灯りは行燈が多い。歌仙は遠州行灯愛用。
華の部屋のは有明行灯です。
実際は暗すぎですがね。御都合よく見た目行灯の
灯りは通常より明るいと思っててくれれば幸い←
電気系は基本本丸にはないと思って下さい。

古風本丸、それが幼審神者の本丸。









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