近頃、審神者様の容体が思わしくない。
自室から出ることも少なくなり、手を借りねば
外に出ることさえままならない。


けれども、何か目的があるのか。
懸命に命を繋いでおられる。
それは、審神者としての役目の為なのか。
それとも、他に何か理由があってのことなのか。


孫様は一人、審神者様の部屋からそれほど離れていない
庭の池の前で鞠をついておられた。
その表情は、笑ってはおられないが、悲しそうでもない。


孫様はお一人で、何を思われているのだろうか。


「・・・・」
「おや、華よ。このような所で何をしている」
「・・・みかづき」
「審神者の所にいかないのか?」
「・・・うん。だって、おせきがとまらなくなるでしょ」


華がおはなししたら、おせきが出ちゃうから。
ばっちゃには、くるしくないでいてほしいの。


「ふむ」
「華はだから、ここで遊ぶの」
「そうか。ならば、華」


―――お前は苦しくないのか?


その言葉に、小さな孫様の肩がびくりと微かにはねた気がした。
真に齢4つの幼子なのだろうかと、驚かされる。


「くるしくないよ。おせきでないもの」
「体はそうであっても、ここはどうなのだ」


指をさされる胸に、手をそえる。
俯いて何を思うのか。


「わからない。でも、ぽっかり」
「・・・ふふ、そうか。ぽっかりか」
「うん。ぽっかり」
「なれば、そうだな。」


三日月殿が手を差し出して、戸惑いの顔を見せる孫様。
優しく笑んで、小さな手を差し出す様に促す。


「行こう。そこは空にしておくには惜しい。俺が埋めてやろう。」


そして、皆に埋めてもらおう。


「長谷部、お前も行くぞ」
「!・・・ええ」



おずおずと、その手をとった孫様の表情は。
戸惑いながらも、とても嬉しそうに見えたのだ。













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